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「ユーザー体験を悪化させるIE修正は恥」とEolasのCEO

» 2006年04月03日 11時52分 公開
[Ryan Naraine,eWEEK]
eWEEK

 米イリノイ州シカゴに本拠を置くEolas Technologiesは、Microsoftがシームレスなユーザー体験を犠牲にしてInternet Explorer(IE)を修正したことは、「失望」であり「恥」であると語っている。

 次期IE累積セキュリティアップデートで、特定の組み込み式マルチメディアコンテンツの処理について余計なクリック操作が必要になるとのニュースを受け、Eolasのマーク・ソーズ最高経営責任者(CEO)は、Microsoftに対し、ブラウジング体験を悪化させるのではなく特許ライセンスを取得すべきだと主張した。

 同氏はeWEEKの取材に対し、控訴のプロセスが長引いている対Microsoft特許訴訟に関するコメントを拒否したものの、自社テクノロジーをMicrosoftにライセンス供与する和解策を話し合う考えがあることを強調した。

 「Microsoftは、これ(IE修正)が同社の法的立場を助けると考えているようだ。それが事実か否かについて私が詳しくコメントすることはできないが、当社の立場は変わっていない。自社テクノロジーのライセンス供与について妥当な話し合いを進める準備が出来ている」(ソーズ氏)

 Microsoftが提案したIE修正はユーザーに余計な手間を強いるものだ、とソーズ氏は主張している。報じられたところによれば、このIE修正は、オンライン広告およびストリーミングメディアコンテンツの配信手法に大きな混乱をきたすことになるという。

 「この修正が実際にユーザー体験を悪化させるとマスコミなどは反応している。もしこれが本当なら失望するし、恥ずかしい話だ。多くの苦情が寄せられるだろう」とソーズ氏。

 Eolasはオプションダウンロードとして提供されている修正IEをテストしたかとの質問に対し、ソーズ氏は「具体的なことにはコメントできない」と回答を拒否した。

 さらにソーズ氏は、「IE修正は裁判所命令によって提供された」との公衆の認識は誤りであると速やかに訂正した。「Microsoftに何かを強制する裁判所命令は何もない。あらゆる行動はすべてMicrosoft自身の選択によるものだ」(同氏)

 「特許権侵害の判決が有効であることは明らか。当社は幾つかの極めて細かい問題について控訴プロセスを進めている」とする同氏は、Eolas特許侵害でMicrosoftに5億2100万ドルの罰金を命じた2003年8月の陪審判決に言及した。

  ActiveXコントロールをブラウザに採用した広く普及しているプログラムには、AdobeのReaderおよびFlash、AppleのQuickTime Player、MicrosoftのWindows Media Player、RealNetworksのRealPlayer、SunのJVM(Java Virtual Machine)などがある。

 ActiveXの変更について詳述したホワイトペーパーがMSDN(Microsoft Developer Network)で公開されている

 Microsoft自身が認めるところによれば、IEユーザーは、クリックまたはTabキーとEnterキーを使ってユーザーインタフェースを手動で起動させてからでないと、特定WebページにロードされたActiveXコントロールとやり取りすることができない。

 IEで、APPLET、EMBED、OBJECTエレメントがロードするActiveXコントロールのレンダリング手法を恒久的に変更する計画を全力で進めているMicrosoftだが、この変更が大きな混乱を生じさせることを考慮し、Web開発者がこの変更に備えるべくサイトを再オーサリングする期間としてさらに60日間提供する(3月30日の記事参照)

 IEの新バージョンは、4月11日に必須ダウンロードとして配信される。Windows搭載の新コンピュータにもActiveXの変更が含められるが、6月までユーザーがこの変更をオフに設定できる、ホットフィックスのような暫定「互換性パッチ」が提供される。

 ただし、6月に予定されている新たなIEアップデートではすべての変更が元に戻せなくなるため、この暫定的なホットフィックスの適用は限定的に行うようMicrosoftは推奨している。

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