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“新参”松下が掲げる「プレミアム一眼」

» 2006年06月21日 21時28分 公開
[ITmedia]

 「私たちにとっても記念すべき日になる」──6月21日にDSLR市場への参入第1弾製品を発表した松下電器産業の牛丸俊三専務は、「センサーなど松下のトップクラスのデジタル技術とライカのカメラ技術を融合し、これまでにない一眼レフになった」と自信を見せた(関連記事参照)

photo 「プレミアム一眼」をうたうLUMIX L1

 新製品は、一眼レフで実績があるオリンパスとの共同開発で誕生した。フォーサーズ規格を採用したのも、松下が他社と異なりアナログ時代のカメラ資産を持たないためだ。

 だが同社パナソニックAVCネットワークス社の吉田守DSCビジネスユニット長は「フォーサーズは過去のアナログフォーマットに引きずらず、デジタル時代にふさわしい専用フォーマット」と“レガシーフリー”な優位点を強調。オリンパス製レンズなど23本の交換レンズが利用でき、「デジタル専用レンズのラインアップは最大」だ。

 同社が「LUMIX」ブランドで製品を投入したのは2001年。他社デジカメメーカーに比べると遅かったが、いち早く搭載した手ブレ補正機構などが評価され、今年4〜5月期には台数ベースで国内シェア16%を占める2位メーカーに成長した。本年度の出荷計画は世界全体で800万台、シェアは7〜8%を見込む。LUMIXの快進撃は同社の業績V字回復のシンボルでもある。

 同社の予測では、2006年度の国内デジカメ市場規模は840万台で、うちDSLRは70万台。同じく家電メーカーとして同市場に参入するソニーの「α100」は、ボディの実売予想価格が10万円前後。最も競争が激しい普及帯で強豪メーカーに真っ向勝負を挑む。

 これに対して松下は「LUMIXが浸透し、一眼レフにも期待しているが、いたずらに台数シェアを追うことはしない」(牛丸専務)という態度だ。L1はハイアマチュアをターゲットにした中級機として投入する。

 L1が掲げるコンセプトは「プレミアム一眼」だ。ライカブランドの交換レンズとして初めて搭載した手ブレ補正機構に加え、コンパクトでは一般的な、背面液晶ディスプレイを見ながらのスタイルで撮影できる「ライブビュー」機能も搭載した。

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 牛丸専務は「従来の一眼レフに不便を感じているユーザーに価値を認識してもらいたい」と話し、他メーカー製一眼レフと一線を画した「プレミアム」感をアピールする。生産も国内各工場で行い、「プレミアムにふさわしい品質」と胸を張る。

 「L1をスタートに、新しい写真文化の創造に向け、新コンセプトの一眼レフを開発していく」と牛丸専務は話す。具体的な今後の製品については「色々考えているが、秘密だ」と明かさず、「こうご期待」とした。

 ソニーが旧ミノルタの伝統を受け継ぎ、「α100」で正統派一眼レフを世に問うのに対し、「新しい一眼レフ」をうたう松下のコンセプトはある意味で対照的。だが、2大家電メーカーの参入は一眼レフ市場にとって強力な刺激剤になりそうだ。

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