ITmedia NEWS >
コラム
» 2006年08月01日 11時00分 UPDATE

ネット時代の新潮流――CGMとは(2)CGMと既存メディアの“マッシュアップ” (1/3)

CGM連載第2回は、マスメディアを含む既存メディアを「1.0型」、CGMを「Web2.0型」と定義し、ライブドアや「YouTube」の実例を交えて、その役割やビジネスの違いを解説する。

[伊地知晋一,ITmedia]

 テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などの既存メディアと同じように、Webサイトでも運営者側が情報を集め、編集し、一方的に配信するタイプのものを「Web1.0型メディア」と呼ぶことがあります。本稿では、テレビをはじめとした既存メディアを含めて「1.0型メディア」と呼ぶことにします。

 1.0型のWebサイトは、既存メディアの情報をWebに焼き直して配信しているだけとも言えますが、オンデマンド性があり、ユーザーが情報を取捨選択ができるため、利便性が向上しているのは事実です。その代表格がYahoo!JAPANであり、彼らは日本における「Web1.0」の覇者と言ってもいいでしょう。

 これに対してWeb2.0型メディアは、消費者間で双方向に配信される、CGMを中心としたメディアです。インターネットの基本的特性であるインタラクティブ性(双方向性)をふんだんに利用してCGMを発生させ、それを見た人がトラックバックなどを利用して参照し、さらに新たなCGMを生み出す、というネットワークの外部性を発揮しており、それらが集合体となって1つのメディアを形成しています(連載第1回参照)

メディア類型 定義
1.0型メディア 運営者から消費者へ一方的に配信されるメディア(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌の既存メディアと、これらと同様に編集して一方的に配信するWebサイト)
Web2.0型メディア 消費者間で双方向に配信されるメディア(ブログ・SNSなど、消費者間で双方向にCGMが生成され集合体となったもの)

広告ビジネスの“対立”

 ライブドアとUSENとの提携話の最中に、「livedoorグルメ」と「グルメGyaO」を連携できないか、との話が上がりました。一見同じグルメサイトなので連携して相乗効果が出せそうな気がしますが、連携しない方がいいとの結論に至りました。なぜそのような結果になったのでしょうか。

 livedoorグルメは、飲食店の名前や場所、評価や感想などを消費者が投稿するサイトで、CGMがメインコンテンツのWeb2.0型メディアです。一方グルメGyaOは、飲食店から有料で広告出稿を受け付けてサイトに掲載する、既存の広告ビジネスと同様の1.0型メディアです。

 グルメGyaOは、有料で広告出稿してもらっているので、広告主である飲食店のイメージアップにつながる情報しか掲載されません。しかしライブドアグルメは、CGMを中心としたメディアなので、時にはその飲食店にとって批判的な投稿が寄せられることもあります。

 つまりこの2つのサイトが同居した場合、お店のブランディングを目的としてお金を払って広告出稿したにも関わらず、そのお店に対しての批判的な情報も同時に掲載されてしまう可能性があります。こんなメディアには、当然ながら広告出稿したくないと考える広告主が多く、結果的に広告出稿が減ることが考えられます。

 しかしこれらを両立する方法が無いわけではありません。例えば、投稿されたCGMをリアルタイムで掲載するのではなく、いったんサイト運営者側でチェックした後に掲載するなどの編集作業を加えることがその1つです。しかし少なくともそのメディアを1.0寄りにするのか2.0寄りにするのか、いずれかに寄せなければどちらのメリットも損なわれ、消費者に支持されるメディアにはなり得ないでしょう。この点については後の連載で詳しく説明します。

 一般的に、1.0型メディアは広告主のブランドを傷つけるような情報は配信しないことが原則であり、広告主もその点を安心して出稿しています(もちろんニュースは別ですが)。例えば、テレビ番組中に、その番組スポンサーの悪口を言う人がいないのと同じ理屈です。

 これに対してWeb2.0型メディアは、CGMがベースであるために、賞賛も批判も両方がCGMを通して掲載される可能性があり、ブランディングを求めるナショナルクライアントなどの広告主(テレビにCMを出すような全国的な知名度をもつ企業)には受け入れにくい広告媒体であると言えます。そしてこれはCGMを中心としたWeb型2.0メディアがもうかりにくいと言われている1つの理由でもあります。

Web2.0にシフトしにくい1.0型メディア企業

 現在のインターネット広告市場に置ける売上の大半は、Yahoo!JAPANに代表されるような、編集して、一方的に配信するタイプの1.0型メディアが占めており、今後Web2.0型メディアが拡大してもこの状況はそう簡単に変わらないと思われます。その理由として、それぞれの広告効果と、販売や流通形態の違いが挙げられます。

 前項でも述べたように、1.0型メディアへの主な広告出稿の目的はブランドの訴求が中心で、広告したい商品を認知させ、興味、関心を持たせるところまでが目的です。

 これに対し、Web2.0型メディアは、CGMが中心にあるために、ブランドを損なう情報が発信される可能性があり、特にナショナルクライアントには敬遠されがちです。このため、1.0型メディアで十分な利益をあげているメディア運営企業が、Web2.0型メディアに進出することは、現在大きな収益を得ているナショナルクライアントへ悪影響を及ぼす可能性があり、そのようなリスクを犯してまでチャレンジしにくい側面があります。

       1|2|3 次のページへ

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.