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CGMと既存メディアの“マッシュアップ”ネット時代の新潮流――CGMとは(2)(3/3 ページ)

» 2006年08月01日 11時00分 公開
[伊地知晋一,ITmedia]
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 結局、ブログを書いたり写真の投稿するなど、何をWebにアップするにしても、その行動を起こすための、前提やなるきっかけの情報(1次情報)が必要であり、CGMはそれらに刺激されて生成されやすくなります。そして、その大多数の人が興味を持つ1次情報を保持しているのは、大半が既存の1.0型メディアなのです。

 とはいえ、個人が1次情報を作れないわけではありません。今晩食べたご飯のおかずから、旅行先の写真など、自分が体験したことや考え付いたことの記録がこれに当たりますが、これらは大多数の人が興味のある情報でないことが多く、ごく少数の人が参考にする程度であり、CGMへ大規模に刺激を与えるものではありません。

 結局、1.0型メディアが配信する、大多数の人に関心のあると思われる情報が消費者に刺激を与え、ブログやSNSに投稿が行われることで、2次情報が生成されていくわけで、1.0型メディアが発信する1次情報はCGM(2次情報)にとっても大きな存在価値があります。

 livedoor Blogでも、大きなイベントや事件などが起きると、ブログ記事の投稿やコメント、トラックバックの量が増えることがあります。これも1.0型メディアから発信させる1次情報に刺激を受けてブログのユーザーがそれを引用したCGMを発生さているからです。

 逆にCGMを見ることで事態を認識し、CGMからのリンクをたどり、1.0型メディアにアクセスする人もかなりの数で存在するでしょう。

 このように1次情報とCGMが相互に影響し合い、両者のアクセスを増やす結果となることが、編集されて一方的に配信される1.0型メディアとCGMの理想的な関係であると考えます。

 もっとも長野連続放火事件の「くまぇり」のように、個人なのに大多数の人が関心を示しそうな1次情報を、ブログに上げて発信していた人もいますが……。

1次情報とCGMの理想的な循環

 1.0型メディアが発信する1次情報と、CGM(2次情報)の理想的な関係は、1.0型メディアにおいて、1次情報をCGMに引用しやすいインタフェースを用意し、1次情報を利用しやすくすることでしょう。それによってCGMが活発に発生します。

 発生したCGMを1.0型メディアの新たなコンテンツ(1次情報)としてフィードバックすることで、1.0型メディアの1次情報が増え、新たなCGMへの引用を呼び寄せる、という循環を発生させることが可能です。

 これらは、1次情報を提供する運営者と、それらを引用してCGMを発生させる運営者が、同じサービス内で完結したり、同じ運営者である必要もなく、Web2.0的な感覚で幅広く緩やかに連携することで実現できます。

 例えば、エキサイトのブログニュースライブドアのブログニュースなどブログのニュースは1次情報とCGMを循環を実現したものです。

 1次情報とCGM(2次情報)の理想的な循環は、牛と、牛のえさとなる草、肥料に例えることができます。牛が人、えさとなる草が1.0型メディアに存在する1次情報、肥料がCGMとなり、以下のような構造になります。

(1)牛(人)が餌となる草(1次情報)を食べ、肥料(CGM)が排出される。

(2)肥料(CGM)により餌となる草(1次情報)が育つ。(1次情報に無かった新たな情報が追加されることによりCGMは、1次情報へと変化する

(3)育った餌となる草(1次情報)を目指して牛(人)が集まってくる。→1に戻る。

伊地知晋一氏のプロフィール

 ライブドア社長室長 コーポレート担当。グループ会社全体のWeb戦略を推進している。

 1996年、メール配信システムのシノックスの取締役として創業から参加。退職後、ユーティリティー系ソフトを販売するプロジーグループに入り、オンザエッヂ(現ライブドア)による買収と同時にオンザエッジに合流。

 2002年、オンザエッヂの旧ライブドア買収に伴い、無料プロバイダー・ライブドアの責任者として運営に当たる。2003年、ポータルタルサイト ライブドア立ち上げ。同時にスタートしたブログが国内最大のサービスに成長した。このほか、約2年半で50以上のネットサービスを立ち上げる。


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