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» 2006年08月02日 11時09分 UPDATE

音楽と人の“出会い系” 「monstar.fm」

「多様な音楽を多様な人に」――色やキーワードで見知らぬ楽曲と出会えるサイト「monstar.fm」は、音楽と人との幸せな出会いを探る。

[岡田有花,ITmedia]

 世界には無数の音楽があり、好みの音楽との出合いを探す人も無数にいる。だが、マスメディアを通じて世に出る音楽は限られ、多様な音楽と出会える機会は案外少ない。

 このミスマッチをネットで解決できないか――いくつかの取り組みが、国内外で始まっている。このほど日本に進出した英国の「Last.fm」は、ユーザー同士の楽曲再生履歴をマッチングし、好みが似たユーザーが聴いている曲を推薦する(関連記事参照)。SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)「mixi」もLast.fmと似たサービスをスタートしている

 「monstar.fm」を運営するベンチャー企業、モンスター・ラボ(東京・小金井市)は「色」と「キーワード」を媒介に、インディーズの楽曲と人とのマッチングを試みる。楽曲のダウンロード販売は、MP3形式でDRMフリー。価格はリスナーが決める。「多様な音楽を多様な人に届け、自由に聞いてほしい」――サービスからそんな思いがにじむ。

音楽の「ロングテール」

画像 「CD店を単にネットに移した、というだけではつまらない。ネットならではのサービスにしたい」といな川社長

 「音楽のマッチングには、アーティストもリスナーも満足できていない」――同社のいな川宏樹社長は言う。音楽を届けたいアーティストと、音楽を聞きたいリスナーがいる。互いのニーズは合致しているはずなのに、うまく出会えない。

 いな川さんの弟はインディーズのミュージシャンだ。事務所に所属し、メジャーデビューを考えたこともあった。だがメジャーに移ると中高生を中心とした“最大の消費者層”に受ける楽曲にせねばならならず、やりたいことができない。事務所を離れた。

 楽曲が多様化し、リスナーの好みも多様化する。だがメジャーを中心にした今の音楽流通の仕組みは、多様性に応え切れていない。販売・流通コストが低く、ニッチな曲も品ぞろえできるはずの音楽配信であっても、楽曲を探し出すには、あらかじめミュージシャン名や楽曲名を知って検索する必要があり、結局はメジャーレーベルの有名な曲が有利だ。

 monstar.fmは、「キーワード」と「色」を媒介にして、多様なニーズに応える仕組みを提供しようと試みる。リスナーに楽曲を試聴してもらい、その印象をキーワードで書き入れ、楽曲の印象に合う色を選んでもらう。楽曲を探しているリスナーは、登録キーワードや色から気になるものを選び、見知らぬ楽曲に出会う。これならアーティスト名も楽曲名も不要。メジャー、マイナーは関係ない。

 売れ筋でなくても良い楽曲はたくさんある。そんな楽曲との出会いを探す人もたくさんいる。「ロングテール」の発想で、多様な曲と多様な人とをつないでいく。「多様性のマッチングが、ネットの本当の力だと思う」

画像画像 キーワード検索(左)とイメージカラー検索

 現在、約40アーティスト、300の楽曲をそろえるmonstar.fmのサイトには、7月7日のβ公開以来、1日200人程度のアクセスがあるという。楽曲に付いたキーワードは「切ない」「懐かしい」「さわやか」といった形容詞から「清い心のちびまる子ちゃん」などといったひねりがあるものまで多彩。色は50色から選べ、キーワードよりも気軽に登録してもらえている、という。

 「monstar.fm」の「mon」はフランス語で「私の」、starはそのまま「スター」という意味。サイトを通して自分だけのスターに出会って欲しい、という意味と、このサービスが音楽業界の「モンスター」と言えるほど大きくなってほしい、という願いを込めた。

DRMフリー、自由価格で楽曲配信

 せっかく出会い、購入してもらった楽曲は、自由に楽しんでほしい――そんな思いから、配信データはDRMなしのMP3形式。コピーを助長したいわけではないが、最も汎用的なフォーマットを選び、幅広く聞いてもらえるようにした。「マイナスの可能性を恐れ、利用を制限して機会を損失したくない。本当に音楽が好きな人に、自由に聞いてほしい」

 価格は100円〜200円の間で、リスナーが自由に決められる。標準価格の120円を超えた分は、アーティストやレーベルに活動資金と提供する仕組みだ。「海外では、ストリートミュージシャンにチップを払う文化がある。日本でも、音楽活動を温かく見守る文化を作りたい」

 今後は、ユーザーごとのマイページを作り、自分が付けたキーワードや色を管理できるようにするなど、さまざなな機能を追加していく予定だ。ライブ活動も行う計画。「アイデアのデータベースは何十、何百とたまっている」といい、優先順位を付け、順番にアウトプットしていく。

 「日本の音楽が、アニメやゲームのように世界に広がって欲しい。最終的には、世界中の楽曲と世界中の人をマッチングできるサービスにしたい」。いな川社長はそんな風に夢を語っている。

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