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「燃えないノート」――電子機器標準化団体、バッテリーに関する規格策定へ(1/3 ページ)

» 2006年08月28日 14時01分 公開
[John G. Spooner,eWEEK]
eWEEK

 Dellを含むPCメーカー各社が、ノートPCの防火対策に乗り出している。

 IPCのOEM重要部品委員会のメンバーであるApple Computer、Dell、Hewlett-Packard(HP)、Lenovo Groupなどの企業幹部たちは2006年9月に会合を開き、ノートPCなどの電子機器で広く使われているリチウムイオンバッテリーセルの安全性を向上させる製造規格の策定について話し合う予定だ。

 同委員会は最近注目されているノートPC用バッテリーの安全性およびリチウムイオンセルの揮発性に対する懸念解消に本格的に取り組んでいく。ノートPCからの出火事故が複数報告され、DellとAppleがバッテリーパックを大量リコールしたことを受けてのもの。

 8月14日にDellがバッテリーパック410万台を、続いて8月24日にAppleが同180万台をリコールしたことから、現在リコール対象となっているバッテリーパックは全世界で約600万台に及んでいる。

 委員会が進める取り組みは今年初めに立ち上げられたが、本格始動したのは約2カ月前。リチウムイオンバッテリーセル製造における共通規格を策定することによって、同バッテリーパックの安全性を向上させたい考えだ。

 Dellのジョン・グロッソ国際調達部門担当ディレクター率いる同委員会の会合は9月13日に予定されており、製造規格に関する初めての話し合いが行われる。

 この作業を迅速に進め、2007年第2四半期中には標準規格をリリースしたい、とグロッソ氏はeWEEKに語った。

 「当面の目的は、バッテリー寿命の向上ではない。われわれは顧客の立場を優先的に考慮しており、顧客がバッテリーを安心して購入できるかどうかこそが、今日の私たちの設立趣旨であると考えている。購入する製品に対して、コンシューマーが不安を抱かずに済むようにしたい」(グロッソ氏)

 「リチウムイオンバッテリーは、携帯電話、電動工具、自動車など至るところで使われている」(グロッソ氏)

 もっとも、同委員会はノートPC用バッテリーパックの設計を規定したり、ノートPCでのバッテリーパックの使用方法を指示する規格を提案するわけではないという。

 そうしたことはPCメーカー各社に任せるべき事柄だとグロッソ氏は考えており、同委員会が注目するのは三洋電機やソニーが製造し、多くのメーカーがパックに組み入れるバッテリーセルだという。

 ただし、バッテリーセルの構造とメーカー各社が採用するテスト手順については深く考慮していく考えだ。

 「われわれ――IPCは強制力を持つ執行機関ではない――が着目しているのは、設計ガイドライン、製造要件、テスト、信頼性だ」とグロッソ氏。

 「当委員会の意図は、条件を強化する共通規格の設置によって、すべてのセルメーカーを一定のパフォーマンスレベルに引き上げることにある。われわれはセルのユーザーとしてスペックを特定し、その後、加盟企業各社が執行機関の役割を担う」

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