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» 2006年09月14日 20時13分 UPDATE

「M&Aも視野」──ミクシィ社長上場会見

サービス充実が第一。収益は後から付いてくる――上場してもミクシィのスタンスは変わらない。潤沢な資金を手に入れた同社は、他社との資本・業務提携も積極的に行って成長を加速させる計画。M&Aも視野に入れる。

[岡田有花,ITmedia]

 ミクシィが9月14日、東証マザーズに上場した。同社の笠原健治社長は「資金調達」「mixiの認知度向上」を上場の狙いに挙げ、「M&Aを行う可能性もある」と語る。

画像 記者会見は座席が足りず、脇の段差も“満席”に

 東京証券取引所で同日開かれた上場会見には約100人の報道陣が詰めかけ、立ち見も出た。インターネットの旬を担う新世代が率いるネット企業の上場に、注目が集まっている。

 ミクシィは、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)「mixi」、求人情報サイト「Find! Job」の2サービスを運営するネット企業。2006年4月〜6月期の単体売上高は8億8106万円と、前期の売上高(約19億円)の半分近くを四半期だけで稼いだ。

 うちmixiの売上高は5億5470万円(63%)、Find Job!は3億2636万円(37%)。2005年第4四半期からmixiがFind Job!を逆転し、名実ともに同社の主力事業となっている。

 今期の業績予想は、売上高が47億8900万円、経常利益が17億1900万円、純利益が9億8600万円(1株当たり純利益は1万4954円)。

画像 笠原社長

 急拡大する業績と期待感を背景に、上場初日は買い注文が集まり、気配値を公開価格(155万円)の2倍強となる315万円まで切り上げたが売買は成立せず、この日の取引を終えた(関連記事参照)

 初値が付かなかったことについて笠原社長は「上場前から注目を集めているのは実感していた。ありがたいと思うと同時に責任も感じている」と語る。

 上場で調達する資金約64億円のうち、10億円強をシステム投資に、3億円弱をオフィスへの投資にあてる。残りの50億円は銀行預金に回し、mixiに新機能を追加する際などに迅速に投資できる体制を整える。

 他社との資本・業務提携も積極的に進めていくという。M&Aは「可能性としてはあり得る」とし、「大きな会社のM&Aというよりは、mixiやFind Job!とのシナジーを生かし、本業を伸ばすためのM&Aならあり得る」と語った。

 笠原社長は、上場の大きな目的としてSNSの認知度向上を挙げる。「SNSは、ブログなどと比べて認知度が低いが、人生を豊かに変える可能性のあるサービス。上場で知名度を上げ、SNSの可能性を知ってほしい」

mixiの成長戦略は

 mixiの9月14日現在のユーザー数は約570万人。400万人を突破した7月26日から50日間で70万人増えた。笠原社長は急激な成長を「ネットワーク外部性」というキーワードで説明する。

 ネットワーク外部性とは、参加者が増えるほど利用価値が高まる性質のこと。SNSは人が多ければ多いほど友人を見つけられる可能性やコミュニケーション密度が高まり、利用価値が上がる。

 mixiの成功を見てSNSに参入する企業は数多く、今年に入ってヤフーや楽天など大手企業も参入したが、すでに圧倒的な数のユーザーを集め、ネットワーク外部性を発揮するmixiに追いつくのは至難の業だ。

 ユーザー1人あたりのmixi滞在時間も伸びてきており、コミュニケーションの密度も確実に上がっている。「日記という縦のコミュニケーションと、コミュニティーという横のコミュニケーションがうまく混じったことが、拡大につながった」――笠原社長はこう分析する。

 mixiの収益は、8割を広告、2割を有料サービス「mixiプレミアム」(月額315円)から得ている。今後は、(1)ユーザー満足度向上によるユーザー数の拡大、(2)広告販売の強化、(3)新しい収益モデルの創出――の順で成長を加速していく計画。従来から採ってきた戦略だが、潤沢な資金を元に成長を加速させる。

 広告については、ターゲティングや口コミ広告を強化。営業部隊も増強するなどして伸ばしていく。プレミアムのユーザー増への施策も検討する。

 新たな収益モデルも構築していく。具体的な計画は未定としながらも、ECの導入や、ユーザー間のオークションサービス、デジタルコンテンツ販売などが選択肢としてあり得るとした。海外展開については「具体的計画はない」としながらも、可能性はあると語った。

生活が豊かになるサービスを

画像

 笠原社長は1975年生まれの30歳。はてなの近藤淳也社長(1975年生まれ)などと並び、ネット業界で活躍が目覚ましい同世代の代表格だ。学生時代からネットに親しんできた世代が展開する新ビジネスに対して、上場という節目に注目が集まる。

 「上の世代、下の世代に関わらず、他社を意識することは基本的にはないし、比較もしない。ユーザーさんにとっても、サービスを誰が提供しているかは問題ではない。今後もあまり意識せずにやっていきたい」――“世代の代表”ととらえられていることに関して、笠原社長は冷静だ。

 前の世代との違いをあえて言うなら、ネットと出会った年齢が若いことだという。「学生時代からネットを使っていた。その分ユーザーに近い視点が持てるという特徴があるのかもしれない」

 会社としての目標は。「ゼロから新サービスを作り、それを1にし、10にする、ということをやり続けられる会社になる」こと。

 「世の中にいい影響を与えたり、生活が豊かになるサービスを提供していきたい。Find Job!やmixiはそんなサービスになったと思う。既存のサービス以外でも、今後10年、50年――それ以降も続くようなサービスを提供できる会社にしたい」

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