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NECエレ、W-CDMA端末向け半導体でトップシェア目指す

» 2006年09月21日 19時54分 公開
[ITmedia]

 NECエレクトロニクスは9月21日、W-CDMA方式の3G端末メーカー向けに、チップセットやソフト開発ツール、SIサービスまで提供するソリューション「Medity」を発表した。同時発表のデジタルベースバンド(DBB)・アプリケーションプロセッサ統合LSIと合わせ、実装面積や開発工数を大幅に削減できるという。

 同社はW-CDMA端末向けデジタルベースバンドチップ(DBB)では世界シェア20%強のトップ。世界的に同方式へのシフトが進むにつれ競争の激化が予想されており、同社は高性能チップに加え、問題解決型のサービスも強化することで対抗。2008〜9年度にシェア30%、同端末向け半導体分野でトップシェアを目指す。

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 Medityは、(1)統合LSIなどで構成するチップセット、(2)通信・アプリケーションソフトウェア、(3)リファレンスデザイン、(4)アプリケーションソフトなどの開発支援ツール、(5)OSやミドルウェア移植を行うSIサービス──で構成。第1世代の「Medity1」として提供を始めた。

 サンプル出荷を始めた統合LSI「M1」(MC10038)は、NECと共同開発した3G通信コアと、独自開発のアプリケーションプロセッサを1チップに集積。メモリを共有できるユニファイドメモリ技術を導入するなどし、従来の13チップ構成を9チップ構成で済むようにした。SiP(System in Package)の採用で、実装面積も従来比で約4割削減できるという。

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 3G端末の開発費は1機種あたり100〜200億円かかるとされ、開発の効率化は端末メーカーの至上命題になっている。MedityはLSIにからSIまで一括して同社が提供。端末原価に加え開発工数も削減でき、端末メーカー側は浮いた分のリソースを差別化部分にまわすことができるようになるとしている。

 Medity1はW-CDMAシングルかW-CDMAとGPRS/EDGEデュアル対応。将来の「Medity2」では、海外展開で必須となるW-CDMAとGSMのデュアルにも対応する予定だ。

 アプリケーションソフトと開発ツールは、同社のシステムLSIプラットフォーム「OViA」の枠組みを通じてパートナー企業から提供する。OViA対応のデジタル家電向けLSI「EMMA」と同様、携帯電話向け半導体ブランドとして「Medity」に注力していく考えだ。同社の中村一夫第3システム事業本部長は「従来型ビジネスからソリューション型ビジネスへの橋頭堡になる」と話している。

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