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“どこでもヤフー”は日本がリード――井上社長が強調CEATEC JAPAN 2006

» 2006年10月04日 21時31分 公開
[鷹木創,ITmedia]

 Yahoo!JAPANがスタートした1996年には1000万人程度だったインターネットの利用者は、2005年には8000万人以上に増加した。ヤフーも含めインターネット業界は、こうした量の拡大のなかで成長してきたといえる。一方、今後は利用者が倍増するようなことは難しい。成長はここで頭打ちになるのだろうか――。

 「利用者数の伸びは減速している。これまでのように増加しないことは覚悟している」。CEATECの基調講演でそう説明するのはヤフーの井上雅博社長だ。ただし「成長はここで終わりなのか」と問われればそうではない。月に数時間しか使われていなかった利用時間が「ぐうっと延びている」。2000年と比較すると約2.3倍に延びたインターネットの利用時間は2006年5月の時点で月間18時間に達した。このうち、Yahoo!JAPANの利用時間は3時間26分を占めるというのだ。

ヤフーの井上社長

 利用者数から利用時間にシフトしたヤフーの成長戦略は、いつでもどこでもヤフーを利用できるようにすること。すなわち「Yahoo! Everywhere」構想である。その第1弾がソフトバンクモバイルの「Yahoo!ケータイ」だ(9月28日の記事参照)。新端末では、専用の「Y!」ボタンを押すだけでトップページに接続。従来の公式サイトに加え、Yahoo!JAPANのオークションやショッピング、ニュースなどのコンテンツにアクセス可能だ。

 「まだまだ発展途上。ソフトバンクがボーダフォンを買収してからまだ時間がたっていない。ただし、Yahoo!ケータイを見てもらえれば、こんなイメージになるということはわかっていただけたのではないか。ユーザーが携帯電話を通じて何をしたいのかを考えながらサービスの充実を図っていきたい」

 Yahoo! Everywhere構想の一環として今回のCEATECに出展したのが、ヤフーのコンテンツやサービスを家庭内の機器(テレビなど)に表示するアプリケーション「Yahoo! デジタルホームエンジン」だ(詳細記事)。米国で提供されている「Yahoo! GO」などサービスを交えながら映像配信などのデモンストレーションを行った。

インターネットに接続できるテレビから、Yahoo!の画像/動画/商品検索、Yahoo!動画、Yahoo!フォト、Yahoo!ポッドキャスト、Yahoo!ニュース、Yahoo!天気、Yahoo!オークション、Flickrにアクセス。技術的にはITmediaのRSSも取得できるという
Yahoo!フォトの画像とポッドキャストの音楽を組み合わせて独自のスライドショーを楽しむこともできる

 こうした新しいサービスのカギになるのが「Yahoo!JAPAN ID」だ。携帯電話やテレビには、PCと同じようなキーボードは装備されておらず、検索などの機能を利用するにも文字入力には限界がある。文字入力の負担を減らすには、ユーザーひとりひとりの行動履歴から適切なキーワードを表示するなど、高度なカスタマイズが重要だ。その際に、Yahoo!JAPAN IDに紐付いた各ユーザーのデータが生きてくるのである。

 「たとえば株価情報だ。日本だけでも3000数百社の情報があるが、興味ある株価は多い人でも10社程度。Yahoo!に登録しておけば、PCでもテレビでも自動車の中でも好きなように見える。そのためのキーがYahoo!JAPAN ID。1つのサービスにあらゆる機器を使ってアクセスできる。これからのヤフーの役割はIDの管理といろいろな機器にサービスを提供していくこと。情報提供者も余計な手間をかけずにサービスを提供できる環境を構築したい」

 インターネットはこれまで、その生まれ故郷である米国が主導してきた。一方、日本ではブロードバンドの普及に加え、携帯電話やテレビなど非PCによるインターネットの普及が目覚しい。リッチコンテンツをどこでも楽しめる環境は整いつつあるといっていい。井上社長は、ワールドカップの携帯サイトに対するアクセスでは、全体の6割以上を日本が占めた例を挙げ、「普及だけでなく利用が進んでいる。高機能なテレビやカーナビのシェアは日本で高い」と強調。「これからのインターネットは日本がリードする。Yahoo!JAPANも世界のYahoo!をリードしていきたい」と抱負を語った。

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