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“傘シアター”から電気自動車まで――慶応SFC研究発表

» 2006年11月22日 19時51分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)のSFC研究所の研究発表イベント「SFC Open Research Forum 2006」(ORF2006)が、東京・丸の内で11月23日まで開かれている。今年のテーマは「現代リアル学」。8輪で最高時速370キロの電気自動車「Ellica」の実機が見られるほか、ちゃぶ台とRFIDを使った“お墓”や、傘に写真を映し出す“傘シアター”、生き物のようにうごめくライトなど、大学らしい自由な発想が生きた展示が見られる。

画像 MASTABA

 「未来のお墓、考えてみました」――「MASTABA」は、ちゃぶ台の上に貼り付けたスクリーンにデジタル写真を映し出すことで故人を追悼するという“お墓”だ。湯飲みに家族それぞれのデータに対応するRFIDタグを添付。ちゃぶ台の下に埋め込んだRFIDリーダーで読み取り、対応する家族の写真をプロジェクターで映し出す。そばには0歳〜80歳まで10歳区切りの年齢を書いたライトが置いてあり、点灯すると、家族それぞれがその年齢のだった当時の写真が映し出される。

 展示していたのは簡易版だが、実際は0歳〜99歳まで1歳区切りのライトを階段状に並べた大がかりな“建物”になっている(関連リンク参照)

 「お墓参りは形式的になりがちで面倒に思う人もいるが、MASTABAなら家族みんなで団らんしながら故人の思い出話に花を咲かせられる。最近はお墓が高騰し、お墓を作らない人も増えていると聞く。お墓がこういう形に変わっていくのも、1つの可能性なのではないか」(研究員)

葉っぱがスイッチに

 植物と気持を通じ合わせたい――葉っぱに触れるとライトが点灯したり、ライトの色が変わるという「植物インタフェース」の展示も。人間の脳波測定に使う電極を葉っぱに張り付け、植物の電位変化をチェック。人が触るなどして電位が大きく変化するとスイッチが入り、光の色が変わる仕組みだ。

 植物の反応はふだんは目に見えないが、電位を測定することで反応を可視化。まるで動物と一緒にいるかのような感覚を味わえる。

画像画像 植物インタフェース研究(左)とTabby

 ふわふわしたライトが動く「Tabby」も、動物でないものから動物のような反応を感じ取れる研究だ。空気で膨らませた風船の中にライトとセンサーを置き、毛皮でくるんでしっぽを付けた。風船を触るとセンサーが検知し、ファンの動きを調整して風船がゆっくりとふくらんだりしぼんだり、ライトの光量が変わったりして、生き物であるかのように見える。

傘シアターからFlickrに投稿

画像 インターネット写真傘

 こんな傘があれば雨の日も楽しくなるかも? 「インターネット写真傘」は、傘の内側に写真を映し出したり、その場で写真を撮影してネット公開できる傘だ。

 柄の先に小型のプロジェクターを設置。柄の中ごろにはWebカメラを設置し、それぞれをネット接続したPCにつないだ。プロジェクターからは、Flickrの特定のIDの写真が傘の内部に映し出され、傘をひねると次の写真を表示する。

 Webカメラで静止画を撮影すると、PC経由でFlickrに特定のタグを付けて自動掲載。撮影から2分ほどで掲載完了するという。今回のイベントで撮影した画像が、Flickrの特定のページに掲載されている。

8輪の電気自動車「Ellica」に人だかり

 リチウムイオン充電池で走る8輪の電気自動車「Ellica」は、電気自動車研究室が産学連携で制作している。「丸ビル」前の展示には、通りがかった多くの人が足を止めて見入っていた。

画像画像

 Ellicaは実用化を前提とした研究で、3000万円程度で2〜4年内の実用化を目指している。動力機関をすべて床下に収納して広いスペースを確保。ガソリン車では不可能という8輪走行も実現した。

 「電気自動車だからといって、ただ高いだけでは売れない」(研究員)と、ボディデザインは高級車をイメージ。最高時速は370キロ、加速性能は一般のスポーツ車以上とデザインも性能も高め、一般販売を目指す。

 SFC Open Research Forum 2006は11月23日まで。丸の内の丸ビル、三菱ビル、東京ビルTOKIAガレリアの3会場で、午前10時から午後7時まで行われている。

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