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Vistaのアップデートで「フランケンシュタイン」と戦うMicrosoft

» 2006年12月18日 10時57分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK

 米MicrosoftがWindows Vistaのアップデートをリリースした。各種テスト版と正式版のファイルを混ぜこぜにしてプロダクトアクティベーション技術を回避しようとする同OSの海賊版を防ぐ狙い。このやり方をMicrosoftでは、怪物の名を取って「フランケンビルド」と命名している。

 フランケンビルドは基本的に、Vistaリリース候補(RC)のビルドと11月に製造工程向けリリース(RTM)されたビルドを継ぎはぎに組み合わせて、アクティベーションを回避するハイブリッド版を作成している。

 Vistaはまだボリュームライセンス契約を結んだ企業向けにしかリリースされていないが、1月30日にはコンシューマー向けがリリースされる予定だ。

 しかし同OSのコピーは既にインターネットで出回り、内蔵のセキュリティ機能とプロダクトアクティベーション機能を回避しようとする動きが出ている。

 Microsoftが12月12日の週にリリースしたVistaのアップデートでは、Vistaの新しいWindows Updateを使って「フランケンビルド」システムに正規認証チェックを受けさせる。

 同社の発表によると、このアップデートが影響を与えるシステムは、バイナリを改ざんした特定バージョンのWindows Vistaのみ。

 「これらシステムはこのチェックに合格できない。われわれは、RC(製品)キーがそれ用に公認されていないシステムで利用できないようにした。つまり、間違ったキーを使っているということになる。このシステムは非正規システムとしてフラグが付けられる」。同社はWindows Genuine Advantageサイトのブログでこう説明している。

 これら非公認版は検出されると正規のプロダクトキーでアクティベートするために30日の猶予期間を与えられ、その後制限機能モードに切り替わる。このモードになると、新しいユーザーインタフェースのAeroやReadyBoostなどが使えなくなり、同OSを利用できるのはデフォルトのWebブラウザで1時間のみに制限される(訳注:Windows Genuine Advantageサイトのブログでは「海賊版と判断されると、AeroやReadyBoostなどの特定機能が使えなくなり、30日の猶予期間中に正規のプロダクトキーでアクティベートし直すことを求められる。アクティベートされない場合、デフォルトのWebブラウザを1度に1時間利用することしかできない制限機能モードに入る」となっている)。

 しかし、これら改ざんされたシステムを利用していても、自分のデータにはすべてアクセスすることが可能。「1回に1時間しかブラウザが使えなくても、自分のデータへのアクセスに当社が制限をかけることはしないと明言しておきたい」とブログでは述べている。

 「ユーザーはいつでも、いわゆるセーフモードでPCを起動できる。セーフモードはドライバ、ディスプレイ、ネットワークのサポートが制限された状態でWindowsを使うモードだが、ユーザーは自分の全ファイルにアクセスできる」(Microsoft)

 ただ、過去数週間で見つかったアクティベート解除法はフランケンビルドだけではないともMicrosoftは指摘している。別のアクティベート解除法では一種の仮想化技術と大企業向けのアクティベート方法であるKey Management Servicesが使われているとブログでは述べ、「Windows Vistaの海賊行為は重大な結果を招くものであり、これによって逆に、ユーザーが購入する前にチェックしようという気になる」と言い添えた。

 Microsoftは発表文の中で、今後不正なアクティベート解除法など偽のWindows Vistaコードがインターネットに投稿されたり別の手段で提供された場合、「MicrosoftはWindows Vista偽造版の拡散と利用を食い止めるためのさらなる措置を講じ、同ソフトのアップデートをリリースして、場合によってはMicrosoft.comやWindows Updateを含むさまざまな手段でそのアップデートを配布する可能性がある」と警告している。

 同社はまた、正規版Windows Vistaのパッケージ写真と、Microsoftが最近ブラジルで入手した偽造版の写真を公表した。

 正規のMicrosoft製ソフトを見分ける方法は同社サイトに掲載されている。

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