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「エンタメが成長エンジン」 So-netは「トップニッチ」目指す

» 2007年03月27日 21時12分 公開
[ITmedia]

 「So-net」を運営するソネットエンタテインメントの吉田憲一郎社長は3月27日、経営方針を都内で説明した。売り上げが過去最高となった接続事業に加え、ペット育成型コミュニケーションサービス「Livly Island」や電子番組表サービスなどに注力。GDHやゲームポットなど、資本参加した企業と連携してエンターテインメント分野を強化していく。2009年度まで年10%以上の増収が目標だ。

photo 吉田社長

 同社は3月8日に2007年3月期の連結業績予想を修正し、営業利益が前期比で約5.3倍の34億円になる見通しだと発表した(関連記事参照)。売上高は前期比13.4%増の480億円、経常益は3.8倍の32億円になる見通し。

 営業益を押し上げたのはブロードバンド会員の増加。同社の売上高の3分の2は接続料が占めているが、四半期売上高は2005年7〜9月期に66億4100万円にまで落ち込んだ。だがFTTHの成長で再び拡大に転じ、2006年10〜12月期には82億9900万円と過去最高を更新した。ブロードバンド会員は通期で約17万人の純増になりそうだ。

 FTTH市場の成長に加え、FTTHユーザー獲得の主戦場がネット申し込みから店頭に移ってきたのを受け、大学生協など販路を厳選して獲得コストを抑えてきたのも奏功した。吉田社長は「楽観はしていないが、2〜3年の期間で見れば順調に推移するのでは」と当面、FTTHユーザーの成長は続くと予想している。

photophoto 全社売上高と接続事業売上高の推移

分野絞ってナンバー1のニッチトップ作戦

 「21世紀のキーワードはエンターテインメント」──昨年、「ソニーコミュニケーションネットワーク」から変更した社名の通り、同社が掲げる企業ビジョンは「ネットワークエンタテインメントの追求」。吉田社長は「ポストペットでメールをエンターテインメントポータルにしたように、ネットを身近なものにしてきた自負がある」と話し、エンタメを今後の成長の軸に据える方針を強調した。

 注力するのは(1)キャラクター、(2)アジア・エンタメ、(3)テレビ番組表──の3分野。キャラクターではLivlyが好調で、10代の女性を中心に会員が64万人に拡大している。資本参加したアニメ制作会社のGDH、オンラインゲーム運営のゲームポットと連携し、Livlyやポストペットなど自社キャラクターのマルチ展開を図っていく。

photo Livlyの会員数と属性

 アジア・エンタメでは、韓流スターが登場するCS番組「アジアドラマチックTV」が40代以上の女性に人気で、PC・携帯電話向けサイトと連携させていく。iEPGに対応したテレビ番組表サイト「テレビ王国」もユーザー層の拡大を図っていく。

 GDH、ゲームポットのほか、家電メーカーと設立したテレビポータルサービス(アクトビラ)や買い付け代行コミュニティー「BuyMa」を運営するエニグモ、株式投資SNSをオープンするマスチューンの5社に合計約60億円を投じてきた。「ポータル事業の成長は、かなりの部分をこうした企業との連携で作っていきたい」(吉田社長)

 一方で、音楽配信を手掛けるレーベルゲートの株式をソニー・ミュージックエンタテインメントに売却している(関連記事参照)。エンタメは注力分野を絞り込み、それぞれでナンバー1になる「トップニッチ」を目指していく考えだ。

09年度に営業利益率・ROE10%

 経営指標の目標は、09年度(10年3月期)まで売上高成長率で毎年度10%以上、09年度に営業利益率10%・株主資本利益率(ROE)10%を目指す。今期から初めて配当も実施(期末1株2300円予想)し、今後は20%以上を配当性向のめどにする。マザーズから東証1部への指定替えも目指す。

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