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プラスチックで「熱くないノートPC」も NECが開発

» 2007年04月09日 17時49分 公開
[ITmedia]

 NECは4月9日、金属並みの熱伝導性を持つ植物由来プラスチックを世界に先駆けて開発したと発表した。熱伝導性はステンレス以上といい、ノートPCの本体に使えば発熱対策にもなる。2008年度内をめどに実用技術を確立、電子機器などへの利用を進める計画だ。

 トウモロコシなどが原料のポリ乳酸樹脂に、炭素繊維と、独自開発の結合材を混ぜることで、樹脂中で炭素繊維が網目状になり、熱伝導性を高められるという。炭素繊維を10%添加するとステンレスと同等、約30%添加でステンレスの2倍に熱拡散性を高められるとしている。また、金属で劣っていた平面方向への伝熱性も実現した。

 電子機器の筐体に必要な強度特性や成形性も基本実証した。植物由来で環境との調和性も高いとしている。

 デバイスの高性能化に伴い、機器の放熱性の向上が課題になっているが、金属ケースではデバイス周辺が局部的に高温になってしまう。プラスチックに金属や炭素を含めて熱伝導性を高める試みもあったが、配合を50%以上に高める必要があり、成形性やコスト面で劣るという問題があった。

 新素材なら、局部的な高温化を防ぎながら、筐体全体で放熱できるようになるという。「電子機器の発熱対策と環境対策を両方とも進められる」として利用に向けた開発を進めるほか、電子機器以外の分野への応用も目指す。

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