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「チェンメ」「メーリス」が流行作る――ギャル社長に聞く、今どきのITとギャル

» 2007年05月28日 12時08分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 女子高生の口コミが流行を作ると言われている。たまごっち、プリクラ、ルーズソックス――女子高生の間で爆発的に流行し、その後、前後の世代にまで広がった商品やサービスは過去にも多い。

 「女子高生の中でも、流行を作るのはギャルなんです」。藤田志穂さん(22)はこう言い切る。藤田さんは“ギャルマーケティング”を手がけるベンチャー企業・シホ有限会社G-Revoの社長にして現役ギャルの“ギャル社長”だ。

 ギャルは一般の女子高生よりも情報交換のスピードが速く、影響力も大きいと藤田さんは言う。最近は携帯電話の「チェンメ」や「メーリス」がギャルコミュニティーを飛び交い、情報交換を加速する。中学生以下の若い世代になると、携帯だけでなくPCも使いこなしているとう。

「女子高生」と「ギャル」の違い

画像 藤田さん

 「ギャルと一般の女子高生って何が違うの? とよく聞かれます。一般の女子高生にも情報発信・共有する力がありますが、ギャルにはさらにプラスアルファがある。影響力、行動力、探求力の3つです」

 「わたしもギャルだから分かるんですけど、ギャルって同じように見えて1人1人違って、メイクやファッションで個性を追求してるんです。その中で新しいものを見つけると、誰かにしゃべりたいと思う。高校時代はわたしも、学校に行って誰かに『ねーねー知ってる?』と新しいことを教えるのが快感でした」

 女子高生には、学校という情報共有の場がある。加えてギャルの多くは「ギャルサー」と呼ばれるサークルに所属。放課後も仲間と会い、ひたすらしゃべっている。

 「ギャルは毎日のように渋谷に行くけれど、毎日洋服を買うお金があるわけじゃなくて、ただ集まって話してる。恋話(コイバナ)から始まって……常にしゃべってるんです」。日々のおしゃべりが情報を伝え、流行が生まれていくという。

 「メディアで話題になる前に情報を知ってることが多いです。化粧品なんかも、口コミで広まってギャルがみんな知ってから、テレビで話題になったりするから、CMとか見て『これ、知ってるし』って思うことが多い」

 最近では、レゲエグループ「湘南乃風」や、化粧品ブランド「美肌一族」が、一般で話題になる一足先に、ギャルの間で流行していたという。

「メーリス」「チェンメ」で情報交換

 携帯電話が口コミを加速する。「クラスの仲良し軍団とかギャルサーとかでメーリス(メーリングリスト)持ってるんです。携帯向けブログサービスの日記欄を、連絡BBSのように使うこともあります。チェンメもよく来ますよ」

 「チェンメ」は「チェーンメール」の略だが、不特定多数に送る“不幸の手紙”的なチェーンメールとは少し意味が違う。ギャルにとってのチェンメは、面白いサイトなどを見つけて知り合い同士で転送し合うメールのことを指す。

 藤田さん自身、ケータイ小説や「モバゲータウン」をチェンメで知ったという。「ケータイ小説は、友達から『これ読んでみ?』ってチェンメで回ってきました。モバゲーはけっこう前に、『糸通し』っていうゲームがチェンメで流行りました」

 藤田さんが今、最も利用しているコミュニティーサイトは、趣味などのプロフィールを公開できる「前略プロフィール」(プロフ)だ。「みんなプロフに日記へのリンクを張ったり、ゲスブ(ゲストブック)を張ったりしてる。プロフィールって普通、更新しないものと思うけれど、みんな結構更新しているから面白い。好きな場所とか、時々変わってるし。仲いい子のプロフはみんなブックマークしてます」

 「『プロフで男に振られた』という友達もいました。2人で一緒に遊んでいたころはプロフに『彼女いない』って書いてあったのに、最近になって『彼女いる』って書いてあったらしくて。会ってないのに振られた(笑)」

下の世代はPCも得意

 「わたし達の年代(藤田さんは22歳)はモバイルが中心なんですけど、今の中高生くらいになると、PCも使えちゃう。学校の授業でやるらしくて、普通にExcelとか使えるんです。わたし達のころは学校でもやってなかったのに」

 若い世代ほどPCメールを利用しているという。「今はみんな個人のアドレス持ってるから。わたしはアドレスが母と共有だったから『変なことやったらお母さんに怒られる』って思って使えなかったけれど」

ギャルランキングで流行先読み

 同社は、ツインプラネットが5月に公開した、ギャル限定のリサーチサイト「GRPランキング」を総合プロデュースした。ギャルは情報が早いから、ランキングから次の流行が読み取れると藤田さんは言う。ギャルの“本音”を集めたランキングを大人に見てもらうことで「ギャルと大人とのフィルター役になりたい」という思いもある。

画像 「ギャルはかばんの中身がやたらと多いんです。化粧フルセット、ヘアアイロン、髪の毛を固める『ケープ』とか全部入ってる。しかも貧乏性なところがあるから、ケープは特大サイズ(笑)。あと、ギャルは友達を大切にするから、彼氏よりも友達を取る傾向があります」と藤田さん

 回答者は「ギャル度診断」でギャルと判定された人限定で、「バッグがやたらデカい」「男よりも友達を取る」などといった項目に、イエス・ノーで答えていく。「ハードルを上げると数は集まらなくなるかもしれないけれど、リアルな情報を得るために、あえて特化することにしました」。ギャル6000人以上が登録しており、平均年齢は17.2歳だ。

 質問に答えるごとにポイントが貯まる仕組みで、一定数集めれば景品と交換できる。ギャルに飽きずに楽しんでもらえるよう、800以上もの質問項目を用意し、順次増やししている。リアルな答えを集めるため、回答は自由記入式。「ない」という答えがランキング1位に入ることもある。

 ランキングの結果は、オリコンやAmazon.co.jpの特設サイトで紹介したり、ランキングと連動したテレビ埼玉で紹介したりして“ギャル文化”を発信中だ。藤田さんが5月初旬に渋谷で開いた「マイはし」を持ち歩こうと訴えるパレードも、GRPランキングでギャルに「身近なエコ」を聞いた結果を参考に企画した。ランキング結果は、今後もさまざまな形で新たな活動につなげていく方針だ。

 以下、GRPクエスチョンから、PC・携帯関連の質問を6つピックアップした。回答者数はそれぞれ約2000人。ここから次の流行が見える――かもしれない。


順位 好きなPCサイトは(%) PC使う理由は(%)
1 ない(33.1) インターネット(26.9)
2 Yahoo!JAPAN(23.8) 便利(8.9)
3 mixi(13.8) 調べもの(8.2)
4 楽天(5.5) 情報収集(6.4)
5 2ちゃんねる(5.5) 暇つぶし(2.8)
6 Mr&Miss(5) オークション(1.7)
7 YouTube(3.9) ホムペ(1.2)
8 PC持ってない(3.9) mixi(1)
9 モバオク(2.8) 仕事(1)
10 ふみコミュニティ(2.8) ネットショッピング(1)

順位 よく利用する携帯サイトは(%) 1日何時間くらい携帯でサイトを見る(%)
1 Mr&Miss(23) 2時間(25.1)
2 モバオク(20.1) 3時間(23.6)
3 mixi(11.5) 1時間(19.9)
4 モバゲータウン(8.6) 5時間(13.3)
5 うたうた(7.9) 4時間(7.5)
6 ない(7.2) 6時間(3.2)
7 前略プロフィール(6.5) 1.5時間(2.6)
8 Yahoo!モバイル(5.8) 10時間(2)
9 レコード会社直営サウンド(5) 12時間(2)
10位 朝までから騒ぎ(4.3) 24時間(0.9)

順位 携帯サイト、知るきっかけは(%) 1日のメールのやり取りは何回くらい(%)
1 雑誌(42.6) 50回(21.8)
2 友達(38.2) 30回(18.6)
3 ネットサーフィン(7.4) 10回(18.3)
4 リンク(3) 20回(14.9)
5 ランキング(2.4) 100回(10.6)
6 サイトから飛ぶ(2) 5回(9.5)
7 テレビ(1.4) 15回(2.6)
8 サイト広告(1.4) 40回(1.7)
9 検索サイト(1) 3回(1.1)
10 口コミ(0.7) 200回(0.9)

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