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» 2007年06月19日 17時14分 UPDATE

楽天、フュージョンを買収 「楽天経済圏」を拡大

楽天は、東京電力子会社のIP電話会社、フュージョン・コミュニケーションズを買収する。楽天のサービスとIP電話を組み合わせたメッセンジャーサービスなどを検討。楽天は通信インフラ系に進出し、「楽天経済圏」を拡大する。

[宮本真希,ITmedia]

 楽天は6月19日、東京電力子会社でIP電話サービスを展開するフュージョン・コミュニケーションズを買収すると発表した。楽天の各種サービスとIP電話サービスを組み合わせたメッセンジャーサービスなどを検討する。楽天は通信インフラ系に進出し、固定通信網を活用してネットの外へのリーチを強化。「楽天経済圏」の拡大を目指す。

画像 「東京電力がしっかりとフュージョンを育ててくれた。これから楽天も責任あるサービスを提供する」(三木谷社長)

 楽天子会社の投資会社、楽天メディア・インベストメントが、東電が保有するフュージョン発行済み株式の54.27%に当たる10万6527株を7月31日に東京電力から取得する。取得額は6億7300万円。東電はフュージョン株式全部を売却する。

 楽天はWebを利用した幅広いサービスとIP電話サービスを組み合わせるほか、音声通話を利用したペイパーコール型の成果報酬型広告など、音声サービスを活用してネット外にもリーチを伸ばす。「従来の“オン”ラインサービスでは取り込めていなかった“オフ”(ネット外)のユーザーとのコミュニケーションを可能にすることで、楽天経済圏の新たな展開を図る」としている。

 東京電力は、パワードコムやFTTH事業をKDDIに売却するなど、通信事業からの撤退を進めている。「フュージョンの成長戦略およびシナジー創出のために、総合インターネットサービスを展開している楽天に譲渡することが最適と判断した」としている。

 フュージョンは国内IP電話サービスの先駆け。2001年に格安料金を売りに固定電話に参入した。電力系通信事業者だった旧パワードコムと電話事業を統合したが、06年にKDDIがパワードコムを吸収合併した際、フュージョンはドリーム・トレイン・インターネット(DTI)などとともに東電傘下になっていた。東電はフュージョンの売却先を探し、ソフトバンクやはイー・アクセス、USENなどが買収先として浮上していたが、いずれもまとまらなかった。

 フュージョンの2007年3月期業績は、売上高541億1100万円に対し、営業損益は14億5200万円の赤字、経常損益は6億1600万円の赤字、純損益は14億5500万円の赤字に陥っていた。

オフラインユーザーを「楽天コミュニティー」に

 「IP電話でオンラインとオフラインのユーザーをつなぎ、楽天のコミュニティーを拡大させたい」――都内で開いた記者会見で、同社の三木谷浩史社長は狙いを語った。同社はこれまで「楽天スーパーポイント」や「楽天カード」をオフラインの店舗でも利用できるようにするなど“ネット外の経済圏”にも手を伸ばしてきた。

 買収によってIP電話のインフラとユーザーを取り込み、オフラインへの取り組みを加速させる。楽天の3700万会員にも050番号を配り、オフライン・オンライン双方でユーザーがコミュニケーションできるようにする計画だ。

 このほど新会社を設立して始めたインスタントメッセージングサービス「楽天メッセンジャー」とIP電話を組み合わたサービスも始める予定だ。「ソフトフォンと普通の電話の垣根がなくなっていくと思う。オフィスに電話が1台もなくて、みんなPCから電話するようになるのでは」(三木谷社長)

 メッセンジャーとIP電話を活用した成果報酬型広告(Pay Per Call)の導入も検討する。「最近は動画や音声を使ったサービスがたくさん出てきている。楽天も音声を使った新しいビジネスモデルの構築を目指したい」(三木谷社長)

 050番号は、楽天市場で安心して取り引きしてもらうのにも役立つとしている。買い物の際に連絡先として登録する電話番号に050番号を利用することで、通常の電話番号を利用するよりも安心して使ってもらえる、というわけだ。

「ソフトバンクのように大きなインフラを持つつもりはない」

 買収は、楽天から東京電力に今年に入ってから持ちかけたが、三木谷社長は「ソフトバンクのように大きなインフラを持とうとは考えていない」と強調する。「IP電話を使ってより多くのユーザーを取り込んでいくだけ。IP電話をベースにさまざまなサービスが登場するのは歴史の必然。考えだしたらアイデアがたくさん出てくる」(三木谷社長)

 フュージョンは前期は赤字に陥っているが、09年3月期には最終黒字化する計画だ。

東電は通信事業から撤退 「投資は取り戻した」

画像 東電の勝俣恒久社長(左)と三木谷社長

 東京電力は約20年間取り組んできた通信事業から撤退することになる。同社の勝俣恒久社長は「社会的インフラを構築した。東京電力の通信技術も進歩して最先端になった。収支に関して言えば、通信事業で投資したものを取り戻した」と総括した。

 最近はNTT東西地域会社の「ひかり電話」などでIP電話の通信障害がひんぱんに起こっているが、フュージョンの大島悦郎社長は「フュージョンはこれまで安定的にサービスを提供している。ユーザーの方には信頼を持って安心して使っていただけると思う」と語った。

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