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81歳も学ぶネット専門「サイバー大学」

» 2007年07月30日 13時30分 公開
[宮本真希,ITmedia]

 ソフトバンクグループが4月に開校した、国内初のネット専門大学「サイバー大学」(吉村作治学長)では、全国500人余りの学生が学んでいる。定員の1200人は満たしていないが、高校新卒者から81歳まで幅広い世代にまたがり、学習意欲は高いという。授業はすべてオンラインで行われるが、学生同士のオフ会など、オフラインのコミュニケーションも生まれている。

画像 「ネットにつながるPCがあれば、どこでも授業が受けられる。外国に住んでいても構わないし、忙しくて通学できなくても問題ない。交通費や下宿代などもなく安上がりだ。なるべく門戸を広くし、勉強したい人は排除しない」とIT総合学部の石田晴久学部長

 サイバー大学は、ソフトバンクグループの日本サイバー研究所が設立した株式会社立大学(関連記事参照)。IT総合学部と世界遺産学部の2学部制で、IT総合学部では330人、世界遺産学部では195人が学んでいるほか、科目を選んで履修できる科目等履修生・特修生が1102人がいる。

 石田晴久IT総合学部長は「キャリアアップを目指す社会人、リタイアした団塊の世代、高校新卒者と属性やレベルもいろいろで、81歳の学生もいる。熱心な学生ばかりで、遊び半分の人はいない」と話す。

 1学期を終えた時点で、IT総合専門科目の平均受講率は75%と、当初の想定以上に高かった。「だいたい1単位(2万1000円)ごとに7回の授業があるから、1回の授業料は3000円。履修している単位数に応じて授業料を払うので、生徒は常にコスト意識を持っており、これが高い出席率に結びついている」(石田学部長)

 授業は全てネット経由だが、掲示板を使って教授に質問をしたり、学生同士が討論することもできる。「学生同士や、学生と教授がコミュニケーションをとれるよう配慮している」(石田学部長)といい、福岡市内にあるサイバー大学の校舎で学生がオフ会を開くなど、オフラインコミュニケーションも生まれている。

 オフライン行事も行っている。開校時にはYahoo!JAPANドーム(福岡市)で入学式を行い、約130人の学生が参加した。今後はインターンシップやボランティア活動、フィールドワークへの参加など、オフラインの活動を授業にも取り入れる予定。今年の夏には、吉村作治学長のエジプトでの遺跡発掘に、3人の学生が参加するという。

画像 27日に開かれたサイバー大学のオープンキャンパスの様子

 社会人の学生が昼休みなど仕事の合間に授業を受けるというケースも多いため、今後は授業を携帯電話向けにも配信したり、ポッドキャスティングできるようにしたいという。現在は著作権の問題があって実現していない、教材のダウンロードも可能にしていく計画だ。

 まずは既存の2学部を成功させた上で、学部を増やしていきたい考えだ。「ゲーム学部などがあれば面白いのではないか」(渡辺開也事務局長)

 10月に入学する秋学期の生徒を9月3日まで募集する。

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