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ブドウ糖で聴くウォークマン? バイオ電池をソニーが開発

» 2007年08月23日 17時12分 公開
[ITmedia]

 ソニーは8月23日、ブドウ糖で発電するバイオ電池を開発したと発表した。「パッシブ型」のバイオ電池では世界最高出力を達成し、実際にウォークマン(フラッシュメモリタイプ)で音楽を再生できたという。ブドウ糖は地球上に豊富に存在するため、環境に優しい将来のバッテリーとして実用化を目指す。

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 ブドウ糖電池は、ブドウ糖を分解する酵素と、電子を伝達する物質を固定化した電極をマイナス極に、酸素を還元する酵素と、電子伝達物質を固定化した電極をプラス極とし、これをセパレーターで挟んだ構造になっている。

photo 電池ユニットは細胞をイメージした形状で、本体は植物原料プラスチック(ポリ乳酸)を使った

 マイナス極でブドウ糖水溶液を酸化分解し、電子と水素イオンを取り出し、プラス極では電子と水素イオンによる還元反応で水を生成する、という電気化学反応で発電する仕組みだ。

 試作した電池は1辺が39ミリのキューブ型。容量は40ccで、最大出力は約50ミリワットを確保した。電子伝達物質がよく働くように固定化する技術を開発するなどの工夫を重ね、ポンプなどを使わないパッシブ型としては世界最高の出力を達成した。

 同社サイトで公開したニュースリリースでは、試作電池を4つ直列につなぎ、ウォークマンとスピーカーで音楽を再生してみせる動画を公開。ブドウ糖が含まれる市販のスポーツドリンクで発電する様子も紹介している。

 炭水化物であるブドウ糖(グルコース)は、人間を含む動植物にとって重要なエネルギー源の1つ。植物が光合成で合成するため地球上に広く豊富に存在している。

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