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IBMと米大学、グリッドコンピューティングでの難病治療法解明で協力

» 2007年08月24日 08時14分 公開
[ITmedia]

 米IBM、テキサス大学医学部、シカゴ大学は8月23日、デング熱、西ナイル脳炎、C型肝炎、黄熱病などの治療法解明のためのプロジェクトを立ち上げたと発表した。

 新プロジェクト「Discovering Dengue Drugs - Together」は、個人や企業のコンピュータの未使用時の処理能力をグリッドとして結集した「World Community Grid」を利用するというもの。同コミュニティーグリッドのスーパーコンピュータとしての計算能力は、世界でも上位5位以内にランク入りするという。このグリッドで、デング熱などの原因となるウイルスの複製を防ぐ薬を発見するための計算を行う計画だ。

 研究者らによれば、有効な薬を見つけるには約5万年分の計算時間が必要になるという。ただしこのコミュニティーグリッドを使えば、1年以内に完了する見通し。寄付される処理能力が増えるほど、完了までの時間も短縮される。

 プロジェクトの第1段階では、ウイルスを複製する主要たんぱく質の1つを取り上げ、600万個以上の薬品分子のデータベースと照合し、複製防止効果を持つ薬品を見つけ出す。第2段階では、ウイルスのたんぱく質と最も結び付きやすい薬品分子を推測する。研究者らは導き出された数十個の分子をテストし、新薬の開発に取り組む計画という。

 IBMらはグリッドへの参加を呼び掛けている。仮に10万人がプロジェクト開始後1週間以内に処理能力寄付に同意すれば、計算完了に必要な時間は半分に短縮できるという。World Community Gridの参加者は現在31万5000人以上で、70万台以上のPCがリンクしている。同グリッドではこれまで7件のプロジェクトに取り組んでおり、例えば「FightAIDS@Home」は5年計画のところ、6カ月で終了した。

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