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» 2007年09月28日 15時15分 UPDATE

DTMブーム再来!? 「初音ミク」が掘り起こす“名なしの才能” (1/2)

なめらかな声で歌う楽曲制作ソフト「初音ミク」が、ネットの“職人魂”を呼び覚ましている。ミクが歌う歌を作るDTM職人、ミクが踊る動画を作る絵描き職人――無名のネットユーザーが、新たな創造のうねりを生む。

[岡田有花,ITmedia]
画像 ITmedia Newsの某記者(34)が購入した「初音ミク」のパッケージ(写真右)。DTMは10年ぶりといい、1晩で1曲作り上げた。「思ってたよりははるかに簡単だったが、チューンナップしていたらキリがなさそう」

 「買ってから数日は、毎日曲を作ってた。リビングのPCに(鍵盤の)キーボードをつないで。音声が出るから家族に不審な目で見られるけど、それも気にならないくらい楽しい」――20年ほど前のDTM(デスクトップ・ミュージック)ブームを知る男性(48)は、「初音ミク」購入をきっかけに久々に楽曲作成にチャレンジし、すっかりハマってしまったと話す。「人の声で歌う歌が作れるのが楽しくて」

 初音ミクは、メロディーと歌詞を入力すれば、アイドル風合成音声で歌う歌声制作ソフト。ヤマハの音声合成技術「VOCALOID 2」と声優の藤田咲さんの声を組み合わせた(関連記事参照)。ミクは「歌うアンドロイド」という設定で、合成とは思えないほど自然な歌声とかわいらしいイメージキャラクター、歌声を入力できる楽曲制作ソフトとしては比較的手ごろな価格(Amazon.co.jpで1万5750円)を背景に、異例のヒットが続いている。

 売れ行きは驚異的だ。DTMソフトは平均販売数は200〜300本、ヒット作品でも1000本という市場だが、8月31日の発売から9月27日までの1カ月弱で1万本(予約含む)を売り上げた。都内の量販店やAmazon.co.jpでも品薄が続き、体験版を付録に付ける「DTMマガジン 11月号」(10月6日発売)には通常の倍近くの予約が殺到しているとう。

「ニコニコ」が職人魂に火をつける

 「この曲大好き」「神職人」「うp主の才能に嫉妬」――初音ミク人気の起爆剤はニコニコ動画という発表の場と、そこに集まるユーザーのこういったコメントだ。作った楽曲をニコニコ動画に投稿すれば、多くの人に聴いてもらえ、コメントも見られる。すぐに見える反応が、“職人”のやる気をヒートアップする。

 ニコニコ動画で「初音ミク」を検索すると、9月28日時点で2000件以上ヒット。当初は既存の人気楽曲の伴奏と組み合わせて歌わせるカバー曲が多かったが、徐々にオリジナル曲が増えてきた。楽曲ジャンルはさまざまだが、アニメソング風やテクノポップなど、“萌え声”でちょっと機械的、というミクの声質に合うものが特に人気。歌詞は「早くパソコンに入れてね」「私の歌声、響いているかな」「ビブラートでごまかさないで」など、ミクの“立場”に立った内容が多い。

 オリジナル曲の一番人気は9月20日に投稿された「みくみくにしてあげる♪」で、28日までに50万回以上再生された。ニコニコ動画で再生すると、サビの「みくみくにしてあげる」の部分でコメントが殺到。印象的なサビが、みんなで同時に同じコメントを書く“弾幕”というニコニコ固有の文化もすくい上げる。

 次は13日投稿の「恋スルVOC@LOID」で、28日までに20万回以上再生されている。「制作当初、ここまでの反響は想定してなかったので本当に驚きです」――作者は、聴いてくれるユーザーへの感謝を、投稿ページに記している。


画像 みくみくにしてあげる♪の“弾幕”
画像 みくみくにしてあげる♪は、曲をアップしたユーザーとは別の“3D動画職人”が、プロモーション動画を制作。9月22日の公開から28日までに6万回以上再生されている

 ユーザーからのコメントで「ここをちょっと変えた方がいい」などとアドバイスが入り、曲が進化していくことも。曲を気に入ったユーザーが「MAD」と呼ばれるアレンジ版を作成し、発表するケースも多い。

画像 「初音ミクが可愛すぎるので描いてみた」より

 26日の投稿から2日間で10万回以上再生されたオリジナル曲「Packaged」は、作曲者とは別のユーザーがCM風の動画を組み合わせて公開。原曲の投稿ページには「CMまで作っていただいてほんと、色々な職人さんに感謝です」と、見知らぬ“コラボ相手”に対する感謝が記されている。

 曲は作れなくても、動画や静止画、漫画を描けるユーザーが、それぞれのスキルをいかしてこの“初音ミク祭り”に参加している。ペイントソフトで初音ミクイラストを描く様子を収録した動画「初音ミクが可愛すぎるので描いてみた」は、17日の投稿から28日までに28万回再生され、「うますぎる」「神!」などとコメントが殺到。初音ミクを描いた3Dムービーも数多くアップされ、賞賛を集めている。

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