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» 2007年11月28日 22時29分 UPDATE

私的録音録画小委員会:「ダウンロード違法化」に反対意見集まるが…… 埋まらぬ「権利者」vs.「ユーザー」の溝 (1/3)

「違法サイトからのダウンロードは違法とすべきか」「補償金は必要なのか」――7500件も集まったパブリックコメントをベースに、小委員会で議論があった。ユーザーと権利者の深い溝は埋まらないが、一部で発展的な議論もあった。

[岡田有花,ITmedia]

 「私的録音録画補償金」制度の見直しを検討するため、文化庁文化審議会著作権分科会に設けられた「私的録音録画小委員会」の第14日会合が11月28日に開かれた。15日まで募集していたパブリックコメントの概要が示され、これをベースに権利者や消費者の代表が意見を戦わせた。

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 パブリックコメントや、今回の議論の主な焦点は、補償金制度の必要性や、違法サイトからのダウンロードを違法とするかどうかについてだ。

 寄せられたパブリックコメントの総数は約7500件。うち8割が、著作物の複製を「私的使用」として認める範囲を定めている著作権法30条の適用範囲についての意見で、違法サイトからのダウンロード違法化に対する反対意見も多かった。さらにそのうち7割が、「ネット上のひな形を利用して書かれたもので、ほぼ同じ内容」(文化庁の川瀬真・著作物流通推進室長)だったという。

 権利者側の主な意見は「私的複製によって権利者は多大な損害を被っており、文化の発展のためにも補償金制度は必要。違法サイトからのダウンロードは当然、違法とすべき」といったもの。これに対してユーザーや、電子情報技術産業協会(JEITA)などメーカー側からは「私的複製はユーザーの権利で、権利者の被害も実証されているとは言えない。違法サイトからのダウンロード違法化は行き過ぎで、ネット利用を萎縮させる」といった意見が出た。

 音楽・ITジャーナリストの津田大介委員は、ユーザーから多くの意見が寄せられたことを踏まえ「ダウンロード違法化についてユーザーからの反対が多いのは、権利者と消費者との溝が深まっていることの現れだ。このまま権利者の側に立って保護を進めると、溝はさらに深まるだろう」と指摘。ユーザーの意見をよく吟味した上で、改めて議論すべきと提案した。

 「個別の項目について賛成・反対を言い合うだけでは意味がない」という意見も出、例えば「違法サイトからの複製を違法とするなら補償金制度は縮小する」とか、逆に「違法サイトからの複製を合法とするなら、補償金制度は拡大する」といった、制度全体について建設的に議論していくべき――といった意見も示され、今後、発展的な議論が行われそうな空気も見えた。

録音録画補償金はなぜ生まれたか

 著作権法30条ではユーザーが「私的利用」として著作物をコピーできる範囲を定めている。同条は、カセットテープやコピー機などが普及し始めた1970年に制定されたが、当時は「複写・録音機器は、零細で閉鎖的な範囲での利用にとどまっている」とし、家庭内での「私的使用」は無償で可能、としていた。

 だがその後、録音・録画機器の普及や、海外での補償金制度の採用といった環境の変化に伴い「私的使用の場合でも、権利者の経済的な利益を保護する必要がある」という声が権利者側から挙がり、文化庁で5年間にわたって補償金制度の必要性を議論。その結果、1992年に30条第2項として「私的録音録画補償金制度」が追加された。

 30条第2項では「政令で指定された録音・録画機器を利用する場合は、補償金を支払わなければならない」と規定されており、現在、CD-R、DVD-RW、MDといった録音・録画用の光ディスクメディア、カセットテープ、ビデオテープ、DVDレコーダーなどから補償金が徴収されている。

 最近は、HDD内蔵型録画機器や、Blu-ray Disc、HD DVD、PC、iPodなど、録音・録画できる機器が急激に多様化してきた。今回の私的録音録画小委員会は、「1992年の法改正時から状況が変化した」とし、改めて補償金制度のあり方を議論。これまでの13回で、権利者団体代表や消費者代表などが意見を戦わせてきた。

 議論の内容は「中間報告」にまとめて10月16日に公表し、一般から意見を募る「パブリックコメント」を募集。各委員が所属する団体を含めて、約7500の意見が集まった。

権利者団体から多数の意見

 小委員会の事務局(文化庁)は今回、パブリックコメントを(1)関係団体等の意見、(2)トピック別に整理し直した意見一覧――の2種類で配布した。(1)はその性質上、権利者の意見が大半を占めており、(2)にはユーザーの意見も多く書かれている。

 団体別の資料で意見が紹介されているのは、日本音楽著作権協会(JASRAC)や日本レコード協会、日本映画製作者連盟、日本放送協会、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)など17の権利者や団体のほか、メーカー側は電子情報技術産業協会(JEITA)・日本記録メディア工業会。消費者側は、主婦連合会とインターネット先進ユーザーの会(MIAU)。

 その他、日本経済団体連合会(経団連)、日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合の意見も掲載されているほか、最後に「違法サイトからの私的録音録画に関する代表的な意見」として、MIAUがネット上で公表したテンプレートをもとにした意見がまとめられている。

 トピック別の意見一覧では、権利者・消費者団体や個人からの意見のほか、音楽出版社やポータルサイト事業者など、企業側からの意見もピックアップしている。


違法サイトからの違法ダウンロードをどうするか

 「中間整理」では、「著作者に無許諾で動画や音楽をアップロードしたサイト(以下「違法サイト」)からのダウンロードについて、『情を知って』(違法サイトと知って)いた場合は、著作権法30条で認められている『私的使用』の範囲から外し、違法とすべきという意見が大勢であった」と記載されていた。

 パブリックコメントではこれについて、「違法とすべき」という意見が、レコード協会など複数の権利者団体や経団連から寄せられた。個人からも「著作者の利益を害していることは明らか。社会正義にも反する」などと、ダウンロード違法化を支持する意見があった。

 一方、ポータルサイト事業者や、レンタルCD・ビデオの権利者団体からは「影響範囲が大きいため、慎重に検討すべき」という意見があがっている。

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