「Googleは将来的に、Google Docsなどのアプリケーションをオフラインでアクセスできるようにする予定だが、当社のフォーカスはそれよりもむしろ、クラウドから提供されるアプリケーションとデータにある」。
Googleのシニアプロダクトマネジャー、ジョナサン・ロシェル氏は、カリフォルニア州サンタクララで開催された「WebGuild Web 2.0」カンファレンスで1月29日、「Webオフィス」の将来をテーマとしたパネルディスカッションでこう語った。
ロシェル氏は、オフラインアクセスはGoogleがいずれ提供しなければならない機能だとして、「われわれはこの機能を提供する方針だが、現在はオフラインとオンラインの狭間にある」と付け加えた。
今のところ、Google Docsを利用するにはインターネットに接続する必要があるが、同社ではWebアプリケーションにオフライン機能を追加するツール「Google Gears」の開発を進めている。一方、Webベースのオフィスアプリケーションのスイートを提供しているZohoなどの企業は既に、Google Gearsを利用してオフラインアクセスを実現している。
Zohoの主要な狙いは、オフィスアプリケーションをオンライン化することにより、これらのプロダクティビティツールにWebの恩恵をもたらすことにあるが、同社のエバンジェリストであるラジュ・ベゲスナ氏は、「人々がオフラインアクセスも必要としているのが分かったので、Google Gearsを利用してその機能を実現した」と述べた。
この発言に対して、オープンソースのBPM(ビジネスプロセスマネジメント)ソフトウェアのベンダーであるIntalioのイスマエル・ガーリミCEOは、「ZohoがGoogle DocsとGoogle Gearsを利用してオフラインアクセスを提供しているのに対し、これらのソフトウェアを開発したGoogleがそうしていないのは非常に興味深い」と指摘した。
「こういったことが起こり得るのが、この業界、この分野の素晴らしいところだ」とガーリミ氏は話す。
しかしロシェル氏によると、こういったことが起きているのはGoogleにとって驚きではないという。「ほかの企業が当社のアプリケーションの上に価値を付加するのは、当初からわれわれが狙っていたことだ」。
「われわれの顧客が広範なアプリケーションを使いたいというのは、われわれにとって何の問題もない。われわれはデータにフォーカスしている。どこからでもデータにアクセスでき、アクセスを共有できるようにしようとしているのだ。コラボレーションやアクセスという意味では、今日のユーザーは自宅で行った作業を職場に持ち込むようになっている」とロシェル氏は話す。
同氏によると、今日出回っている各種のプロダクティビティスイートとの間にはまだギャップが存在するが、将来的にはアプリケーションとデータがクラウドから提供され、Web上で利用できるようになるという。
「この方法は仕事の効率と生産性を高める。ユーザーはアップグレードしたりアプリケーションの次期版にお金を払ったりする必要がなく、ベンダーにとってはアプリケーションの配布がずっと簡単になる」(ロシェル氏)
しかしこれは、最も普及しているプロダクティビティスイートであるMicrosoft Officeが駄目だとか、消え去ろうとしているということを意味するわけではないという。同製品にはまだ何億人ものユーザーがいるからだ。「Web上で利用できるクラウドベースのアプリケーションとしてのOfficeに対する需要がある段階に達すれば、Microsoftは間違いなくそれに応えるだろう」と同氏は話す。
ベゲスナ氏によると、オンプレミス型(自社運用型)アプリケーションに対するニーズも根強いが、クラウドベースのアプリケーションの分野はまだ初期段階であり、今後数年で新たな展開が予想されるという。
「しかしデータはローカルに保存したいとユーザーは考えている。このため、向こう1年間ほどはクラウドベースのアプリケーションでありながら、データは社内に置かれるという製品が提供される可能性が高そうだ」とベゲスナ氏は語る。
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