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ひろゆき氏、新ニコ動は「あさっての方向に進化」(2/2 ページ)

» 2008年03月05日 21時45分 公開
[岡田有花,ITmedia]
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著作権違反コンテンツは、完全になくしたい

 テレビ番組の無断投稿など著作権を侵害したコンテンツの投稿は後を絶たず、コンテンツホルダーがニコニコ動画への参加を渋る原因にもなっているが、対策は進んでいるという。自社が権利を持つ動画を削除できる「権利侵害プログラム」には、コンテンツホルダー38社が参加。監視体制も強化し、著作権侵害を防いでいく。

画像 会見にはテレビ局の取材も入った。ひろゆき氏は「各方面にご迷惑をおかけしているので、テレビ局さんからは怒られるかと思って謝る準備もしてたんですが怒られなかったですね。今日はTBSさんもいらっしゃっていると聞きました。初音ミクをよろしくお願いします!」

 「著作権違反コンテンツは、完全になくしたいと思っている。そういうのが見たい人はなるべく海外のサイト使って。『Youku』とか」(ひろゆき氏)

 日本音楽著作権協会(JASRAC)との協議も進んでいるといい、コンテンツホルダーとの協業も軌道に乗ってきた。エイベックス・マーケティングや吉本興業グループなど4社の公式動画コーナーも設置済みだ。

 吉本興業では「R藤本とぴっかる高木」という無名の芸人の動画が25万回再生されて「プチブレイク」したほか、エイベックスは「『公式なのに釣り?』『avexにもバリニコ厨がいるな』といったコメントまでもらえるようになった」(エイベックス・マーケティング取締役の前田治昌氏)という。

 個人の同人作品がニコニコ動画に無断で投稿され、権利者が削除を要請したが応じてもらえなかった――という騒動も起きたが、ひろゆき氏は「個人と法人は区別しておらず、権利者と確認できれば、要請に応じて削除している」と説明した。

 気に入った動画に換金可能なポイントをプレゼントする――といった仕組みの導入も検討しているが、「現状では著作権侵害動画が多いため見送っている」(ひろゆき氏)という。侵害動画が撲滅できていない状態で導入すると、違法コンテンツをアップする人にお金が集まる――といったことになりかねないからだ。

動画ビジネスの「あさって」へ

画像 あさってを目指すイメージ

 「高画質化とか動画広告の挿入とか、動画ビジネスの“明日”はYouTubeやDailymotionとか他サービスに任せて、ニコニコ動画はあさっての方向を目指す」とひろゆき氏は言う。

 「あさっての方向」とは「みんなが想像していない方向」。これまでの例で言えば、今回の記者発表会にユーザー500人を招くとなど、動画サービスなのにリアルの場で活動したり、「中国語版は出しても英語版は出さない」といった、他ネットサービスではありえない選択などがそれに当たるという。

 「普通のネットサービスがやらないことを意識してやれば、興味を持ってもらえるのでは」(ひろゆき氏)という狙いもあるようだ。

「技術者補完計画」で世界に誇れるサービスに

画像 年内に1000万会員獲得を見込む

 ニコニコ動画の登録会員数は約560万人(3月3日現在)、モバイル版は119万人(同)。収益源は、プレミアム会員の18万9000人の月額会費(525円)と、月間取扱高2億8600万円の「ニコニコ市場」からのアフィリエイト収入、広告収入(2月は3200万円)だ。

 ドワンゴの小林宏社長はニコニコ動画の事業について「まだ赤字です」と告白。「広告と市場の売り上げは想定通りだが、有料会員の伸びがペースダウンしている」といい、プレミアム会員になるための導線を分かりやすくしたり、満足度を上げるための施策を打っていきたいと話した。「ただ、露骨に誘導するということは、あまりやりたくない」

 小林社長は「今年中の単月黒字化を目指している」としながらも、こんな本音ものぞかせる。

 「ここから先は決算説明会の発言と矛盾するので、投資家のみなさまには耳をふさいでほしいのだが、当社が目指しているのは、できるだけ多くの人に利用してもらうこと。そのために、コンテンツを作ってもらいやすい環境を整えるのが先決だ」

画像 「やらないか」と小林社長が迫る

 「単月黒字化は考えていないとは言わないが、今一番に目指すべきことではないと思っている。今年は『単月黒字化するが、初期投資は回収できない』というぐらいでいいと思っている。世界に誇れる日本発のサービスとして大きく育てたい」

 “世界レベル”を目指すためには技術者がまだまだ足りないといい、同日「技術者補完計画」を発表。現在約100人いる同社の技術者を、200人に増やす。

 会場で流れた「新世紀エヴァンゲリオン」をほうふつとさせるイメージビデオには、「野武士歓迎」「中退歓迎」などといった文字が躍り、小林社長が「やらないか」と迫ってくる――というシーンで幕を閉じた。

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