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» 2008年03月28日 19時13分 UPDATE

「漫画もファンが翻訳、P2Pで流通」「同人誌よりコスプレ」――米国オタク事情

北米の3大オタクイベント「OTAKON」のスタッフによると、米国のオタク事情は日本とはかなり異なる。同人誌よりもコスプレが人気で、アニメも漫画もP2Pファイル交換で無料で手に入れる人が多いという。

[岡田有花,ITmedia]

 日本のアニメやゲームが海外でも人気を得ており、日本コンテンツのファンたちが集まる“オタクイベント”も世界各地で開かれている。米国には「OTAKON」「ANIME EXPO」「New York COMIC CON」といった大規模なイベントがあり、それぞれ数万人規模の参加者を集める。

 「東京国際アニメフェア2008」(東京ビッグサイト、3月30日まで)に出展していた「OTAKON」通訳の吉田寿史さんによると、米国のオタクイベントは日本とは異なり、同人誌よりもコスプレが中心。アニメや漫画は、ファンが勝手に翻訳した海賊版がP2Pファイル交換ソフトで出回っており、版権者が対応に苦慮しているようだ。

同人誌よりコスプレ中心

画像 OTAKONブースには、多くの人が足を止めていた

 米国では大小さまざまなオタクイベントがあり、「大学のサークルなどが行うような小規模なイベントを含めると、週1回はどこかでオタクイベントが開かれている」と吉田さんは言う。

 日本でイベントといえば同人誌即売会が中心だが、米国には「同人誌を描く人はほとんどいない」そうだ。「理由は分からないが、文化的な違いではないか」

 米国のイベントは、人気のアニメを上映してみんなで鑑賞し、感想を語う上映会や、コスプレ大会が中心だ。「アニメファンでなくても、『かわいい衣装を着たい』という理由でコスプレする人もいる」

 OTAKONのような大規模なイベントでは、日本から輸入した正規版のコミックやDVDなども販売。英語に翻訳されているものもあれば、日本語のままのものもあるという。

「しんちゃん」「ルパン」も大人向け――強い放送規制

 米国で人気のアニメは、「ポケットモンスター」「セーラームーン」「遊戯王」「犬夜叉」など「地上波テレビでも放送されたものが強い」。だが、放送されているシーンが日本のものとまるで違う――というケースもあるようだ。

 米国のゴールデンタイムのテレビアニメには、「暴力シーンはだめ」「主人公がピンチになるシーンはだめ」などといった厳しい規制があるといい、日本のほとんどのアニメはそのままでは放送できない。「大きくカットされたり編集されたりしていて、ストーリーがつながっていないこともある」

 ゴールデンタイムに放送できないアニメは、午後10時以降の大人専用枠で放送されている。アニメ専用チャンネル「Cartoon Network」の深夜枠「Adult Swim」(14歳以上向け)では現在、「デスノート」「Bleach」「Blood」「クレヨンしんちゃん」「ルパン三世」などが放映されている。

ファンサブでDVDが売れない

 日本で放映された“無修正”のアニメを見たい場合、どうすればいいか――ネット以前はビデオやDVDで見るしかなかったが、P2Pファイル交換ソフトやYouTubeのような動画共有ネットワークが普及したことで、事情が変わった。

 日本でアニメが放映された翌日には、字幕(「ファンサブ」と呼ばれる)付きの動画ファイルがP2Pネットワークで出回り、その後YouTubeなど共有サイトにもアップされる。そのせいで日本のアニメのDVDが売れなくなったと、アニメDVD販売にも携わった経験を持つ吉田さんは話す。

 「以前はVHSにテープに2話収録して30ドルで売れたのだが、今はDVDに5話収録して20ドル以下にしないと売れない」

 漫画の海賊版もネットで流通しているという。日本語版の漫画のせりふの部分だけが英語に翻訳して書き換られ、スキャンしたファイルがP2Pネットワークに公開されているとい、「Scan」と「Translation」を合わせた「Scanlation」(スキャンレーション)と呼ばれている。人気作品は、日本で発売された1週間後にはScanlationが登場するという。

 「ファンサブもスキャンレーションもファンがやっていると言うが、版権者の正規ビジネスを阻害している。本当にファンと言えるのだろうか。作品を盗んでいるだけではないか」と吉田さんは憤る。

OTAKONにはラルクやTMRも

 OTAKONには、日本の人気アーティストも多数参加するといい、これまでにL'Arc-en-CielやT.M.Revolutionなどがライブを行った。日本の有名アニメ監督や声優も来場し、サイン会などを開いている。

 日本のアーティストやクリエイターがOTAKONなどのイベントを通じて米国に積極的に進出し、市場を広げようと努力している一方、ファンサブやScanlationがビジネスの拡大を阻んでいる――そんな現状があるようだ。

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