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» 2008年04月10日 13時50分 UPDATE

「グリーンITは重要か?」――Gartnerのシンポジウムでアナリストが議論

グリーンITは神話にすぎないのか、それとも電力消費量を削減することでビジネスを改善するための妥当な取り組みなのか? ――アナリストがシンポジウムで議論した。

[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 炭酸ガス排出量の削減や企業コストの削減という点で、グリーンITは単なるキャッチフレーズにとどまらず、本当に効果を発揮できるのだろうか?

 4月8日にラスベガスで開催された「Gartner Symposium ITxpo」では、その点が議論のテーマとなった。シンポジウムでは、米Gartnerのアナリスト、サイモン・ミンゲイ氏とマーティン・レイノルズ氏が「グリーンITは本当に重要だ」と主張する一方、フレンチ・コールドウェル氏とチャールズ・スマルダーズ氏はグリーンITに異議を唱えた。

 グリーンITとは、企業運営における環境面での持続可能性を管理するために情報通信技術の最適利用を目指す動きのこと。そうした取り組みを神話にすぎないと主張する向きもあれば、今後の企業運営にとって不可欠な要素だと主張する向きもある。

 シンポジウムでは、まずミンゲイ氏がグリーンIT支持の考えを表明し、議論の火ぶたが切られた。同氏は、気候変動が急速に進む中、地球の温暖化を食い止めるには、炭酸ガスの大気中濃度を450ppm以内に抑えることが極めて重要であることは、科学的な分析からも明らかだと主張している。

 「情報通信技術に投資すれば、物質集約度や温室効果ガス集約度、エネルギー集約度を削減できるということを示した信頼できる調査結果が得られている」とミンゲイ氏。さらに同氏は、科学的な分析が間違っている可能性もあるが、世界はその可能性に賭けるわけにはいかない、と指摘している。

 こうした主張を受けて、スマルダーズ氏は「グリーンITは絵空事だ」と反論、「ITは世界の炭酸ガス排出量の2%を占めているにすぎない」と指摘している。同氏によると、実際、米国では道路を走行している自動車すべてを合わせたよりも畜牛の方が多くの炭酸ガスを排出しており、また、向こう50年間で世界の人口が60億人から90億人に急増すると予想されていることの方が、ITによる炭酸ガス排出よりもはるかに深刻な問題だという。さらに同氏によると、炭酸ガス排出量を測定する確実な方法は確立しておらず、グリーンITに関する方程式はいずれも信頼性に欠けるという。

 また同氏によると、事実、ベンダー各社はグリーンITに関連して、さまざまなマーケティング戦略を打ち出し、「いかにも環境保護に配慮しているような姿勢」をアピールしているが、大幅なコスト削減をもたらすことでもない限り、実際に何か具体的な結果につながる取り組みを進めている企業はほとんどなく、多くの企業はデータセンターの電力消費量の削減で行き詰っている状態という。

 一方、レイノルズ氏はグリーンIT支持の見解を示し、企業がグリーンITを支持しない場合のリスクについて詳細を語った。同氏によると、企業はますます多くのコンピューティングリソースとコンピュータ製品を必要とするようになっており、それがITコストの増大をもたらしているが、こうした状態が続けば、企業の予算を脅かすことにもなりかねない。

 さらに同氏は、グリーンITのポリシーをきちんと確立していない企業に対しては、いずれ政府が税金なり罰金なりを課すことになるだろうと指摘している。またサプライチェーンのパートナー企業や顧客も、自分の購入する製品が炭酸ガス効果の低いものであることを期待するようになるはずという。こうした傾向はまず政府機関から始まり、グリーンITを推進する消費者団体に広まることが予想される。

 「今のうちにグリーンITの問題に注目し、方針を定めておくべきだ。さもなければ、5年後ぐらいには深刻なリスクに直面していることになるだろう」とレイノルズ氏。

 この意見への反論として、コールドウェル氏はスマルダーズ氏の主張を引き継ぎ、「グリーンITは、環境にとって何か良いことをしていると思いたい人たちと、売り上げを伸ばすための新たな方法を見つけ出したい企業によって作られた神話だ」と指摘している。

 「グリーンITのように皆が騒ぎ立てているキャッチフレーズには惑わされないように。それよりも、省エネにフォーカスすべきだ」と同氏。

 このシンポジウムでモデレーターを務めたGartnerのブライアン・ガメージ氏は、シンポジウムの前後に約60人の聴衆にアンケートを行い、グリーンITを重要と思うかどうかについて質問した。

 シンポジウムの前には、「グリーンITは重要だ」と答えた回答者が58%、「重要ではない」と答えた回答者が20%だったが、「グリーンITは神話にすぎない」とするスマルダーズ氏とコールドウェル氏の主張を聞いた後では、「グリーンITは重要だ」と答えた回答者が50%、「重要ではない」と答えた回答者が39%となっている。

 なおガメージ氏は、GartnerとしてはグリーンITは重要だと考えていることを明らかにした。「なぜなら、グリーンITは企業が運営コストを減らし、気候変動に伴う戦略的なリスクを減らすのに役立つと思われるからだ」と同氏はその理由を説明している。

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