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「青少年ネット規制法に反対します」――MIAUとWIDEプロジェクトなど共同声明

» 2008年04月22日 17時31分 公開
[ITmedia]

 「私たちは青少年ネット規制法案に反対します」――MIAU(Movements for Internet Active Users:インターネット先進ユーザーの会)は4月22日、WIDEプロジェクト(代表:村井純慶応義塾大学教授)など5団体、江崎浩・東京大学大学院教授など6人の個人と共同で、こんな声明を発表した。

 現在、自民・民主党が国会提出を目指して準備を進めている、青少年に有害な内容のサイトの閲覧を規制する法案に反対し、「国家による制限ではなく、民間の自主規制と教育で対応すべき」と主張。拙速な議論に飛びつかず、さまざまな意見を政策に反映するよう呼び掛けている(関連記事:「青少年ネット規制法案」にMIAUが問題点指摘 イベント開催へ)。

 声明に賛同したのはこのほか、多摩大学情報学研究所、NPO法人Arts and Law、ISPのマンダラネット、ロージナ茶会(法政大学の白田秀明准教授が参加する、法律を考える団体)、多摩大学情報社会学研究所の公文俊平所長、慶応義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構の金正勲准教授、日本インターネットプロバイダー協会の立石聡明副会長、ハイパーネットワーク社会研究所の会津泉副所長、評論家の山形浩生さん。

 声明文は「青少年が犯罪に巻き込まれないように努力するという社会的・倫理的な必要性をとても強く認識している」という前提に立ちながらも、「健全な情報を発信する個人や、それを支えるネット関連企業の情報発信にまで制限をかけるのは適切だろうか。結果的に国家による検閲につながりかねず、情報発信やコンテンツ制作を萎縮させる」と指摘する。

 規制は青少年の成長にとってもマイナスと指摘。「青少年が『有害な』情報に全くアクセスできない状態で成人すると、情報の取捨選択や主体的な判断といったリテラシーを学ぶ機会が失われる。興味本位で『有害情報』サイトを作成する青少年や、成人してから多くの犯罪に巻き込まれる“情報弱者”の18歳が生まれるだけではないか」と危ぐ。「小学生から情報リテラシー教育を行い、“ネットの歩き方”を体得させることがより優れた手段では」と提案する。

 また「有害情報への対応を事業者に法律で義務付けると、零細事業者の多いネット企業の経済的負担は重く、官製不況を招きかねない。PCにフィルタリングソフトのプリインストールを義務付けると、フィルタリングを必要としない人にまでコストを負わせる」と経済的なマイナス面を指摘している。

 拙速な議論を避け、事業者と利用者、青少年の意見を政策に反映させるよう提言。「その結論は、国家によってネットを規制するものではなく、青少年がネットを使いこなすことで、情報社会の発展につながるものだと確信している」としている。


画像 声明文
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