ソニーは5月14日、2008年度(2009年3月期)のゲーム事業が通期で営業黒字に転換する見通しだと発表した。07年度は通期では赤字だったが、下半期に黒字転換。今年度は「プレイステーション 3」(PS3)ビジネスが黒字化し、損益は大幅に改善する見込みだ。
同日発表した07年度連結決算(米国会計基準)によると、ゲーム事業は売上高が前年度比26.3%増の1兆2842億円だったのに対し、営業損益は1245億円の赤字だった。ただ、PS3ハードのコスト改善とPSPの売り上げ拡大が寄与し、全体では損益は改善。営業損益は下期に黒字転換し、赤字額は前年度から1078億円改善した。
PS3ハードの売り上げ台数は2.6倍の924万台。ソフト不足から上半期は苦戦したが、下半期には700万台を売り上げた。ソフトも5790万本と4.4倍に拡大した。
PSPは46%増の1389万台。上半期は計画を下回ったが、薄型化した新機種が世界的にヒットした。ソフトは1%増と横ばいの5550万本。
PS2は7%減の1373万台にとどまったが、東欧・中欧・アジアではプラス成長。ソフトも20%減ながら、1億5400万本とボリュームは大きく、発売から8年たった現在でもゲーム事業の収益に大きく貢献している。
06年度 | 07年度 | 08年度見通し | |
---|---|---|---|
PS2 | 1471 | 1373 | 900 |
PSP | 953 | 1389 | 1500 |
PS3 | 361 | 924 | 1000 |
今年度のPS3ハード売り上げ見通しは1000万台。前年度実績からの伸び率は8%にとどまるが、「累計1200万台を販売し、PS3もそれなりのプラットフォームに育ってきた。今年度はネットワーク関連サービスの投資などを行い、やたらに数を追わない方針だ」(大根田伸行CFO)。「PS3は価格弾力性が低い。値下げの数量への影響はPS1やPS2と比べてあまり大きくない」として当面の値下げには否定的だ。PS3ハードのコストと価格の逆ざやは続く見通しだが、ソフトと合わせたPS3ビジネス全体では黒字化を見込む。
今年度のゲーム事業全体では、PS2ビジネスの縮小で全体では減収を見込むが、PS3ビジネスの黒字化などから、営業黒字への転換を見込んでいる。同社はセグメント別の業績予想数値は開示していない。
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