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ソニー、売上高・純利益が過去最高に 今期は液晶テレビ出荷1.7倍を計画

» 2008年05月15日 11時48分 公開
[ITmedia]

 ソニーが5月18日発表した2008年3月期の連結決算(米国会計基準)は、純利益が前期比約3倍の3694億円となり、10年ぶりに過去最高を更新した。液晶テレビ「BRAVIA」やPC「VAIO」、デジカメ「サイバーショット」などの販売が伸び、売上高も6.9%増の8兆8714億円と過去最高だった。

photo セグメント別(決算説明会資料より)

 エレクトロニクス分野と、「プレイステーション 3」(PS3)の売り上げが伸びたゲーム分野などが増収。営業利益は、増収効果と対ユーロの円安効果に加え、旧本社跡地の一部の売却益607億円などを計上したことから、5.2倍の3745億円に拡大した。

 税引き前利益は約4.6倍の4663億円。ソニーフィナンシャルホールディングスの上場益などを計上した。持分法投資利益は28.2%増の1008億円と過去最高に。ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ分は減少したが、前年度に189億円の損失を計上したMetro Goldwin Meyer(MGM)について、追加損失の計上がなかった。

 エレクトロニクスへの集中を打ち出して再建に務めた3カ年の最終年。連結の売上高営業利益率は4.2%と、目標の5%には届かなかったが、「市況の影響の影響を除けば5%の実力はある」(大根田伸行CFO)としている。エレクトロニクス事業の営業利益率は5.4%と、目標の4%を上回った。

 今期の連結業績予想は、売上高が9兆円(1%増)、営業利益が4500億円(20%増)、税引き前利益が4400億円(6%減)、純利益が2900億円(22%減)。

 営業利益には、前期のような不動産売却益などの大きな一時的利益は見込んでいないという。予想による営業利益率は5%になるが、「5%はボトムの数字」(大根田CFO)として今後引き上げを目指していく。今期を初年度とした新経営計画は6月に公表する予定。

標準パネル採用液晶テレビを拡充

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 エレクトロニクス事業の売上高は8.9%増の6兆6138億円。BRAVIA、VAIO、サイバーショットが伸びて増収となり、営業利益は2.2倍の3560億円になった。

 そのうち、テレビ事業は売上高は11%増の1兆3650億円。BRAVIAの売り上げ台数は約1.7倍の1060万台に成長した。ただ、営業損益は505億円悪化し、赤字が730億円に拡大した。上半期、製品競争力の弱さをカバーするため価格対応を迫られた上、下半期も価格競争やパネル不足などに見舞われた。

 今期のテレビ販売目標は1700万台と、前期と同程度の伸びを見込む。30%ほどと見込まれる市場の成長を大きく上回る強気の設定だ。

 従来はソニー仕様パネルを搭載したフルHDモデル中心だったが、より低コストな標準パネルを採用する中・低位機のラインアップを拡充。販路を広げ、販売拡大を目指していく。台数増で固定費負担を減らす上、現在5種類のシャーシも2種類に統一するなどし、コスト削減を徹底していく。

 Blu-ray Discレコーダーの今期販売計画は180万台。現在は赤字だが、下半期に黒字化を見込んでいる。

 今期のエレクトロニクス事業全体では、対ドルで円高の影響から売上高は横ばいを予想。テレビ事業で損益の大幅改善を見込むが、円高のため全体では減益になる見込み。

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