「カーボンナノチューブでも中皮腫」――アスベスト同様との論文
ナノ素材として期待がかかるカーボンナノチューブだが、ある種のチューブを吸引した場合、アスベスト(石綿)と同様に作用し、悪性中皮腫を引き起こす可能性がある――英・米の研究者らが5月20日、このような研究結果を発表した。
長繊維状のカーボンナノチューブは、構造がアスベストファイバーの構造と似ているだけでなく、その作用も酷似しているという結果が出たという。
英エディンバラ大学のケネス・ドナルドソン教授らは、長繊維状と短繊維状のカーボンナノチューブ、長繊維状と短繊維状のアスベストファイバーを、それぞれマウスの腹腔に注入した。その結果、長繊維状のカーボンナノチューブは、長繊維状のアスベストファイバーと同様の作用を示した。長繊維状のアスベストファイバーは肺に深く浸透し、長さがあるために肺の自浄作用で除去することができず、肺がんや悪性中皮腫を引き起こしてしまう。
ただし、大気中のカーボンナノチューブが吸入可能かどうか、吸入された場合肺まで届くかどうかなどは分かっていない。また短繊維状のチューブや湾曲したチューブにはアスベストのような働きは確認できなかった。研究者らは、カーボンナノチューブの安全性について、今後さらに研究が必要だとしている。
約20年前に発見されたカーボンナノチューブは、プラスチックのように軽量で鋼鉄のように強靭なことから、新薬や電池、エレクトロニクスなどさまざまな分野で活用されている。しかし発見当初から、ナノチューブの安全性を懸念する声があった。Chemical & Engineering Newsによると、カーボンナノチューブ市場は向こう4~7年で、20億ドル規模に達する見通しという。
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