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「最も暗い物質」、米大学が開発

» 2008年01月24日 15時20分 公開
[ITmedia]

 米国のレンセラー工科大学とライス大学の研究者が、カーボンナノチューブを使って「最も暗い人工物質」を作り出した。

 この物質はカーボンナノチューブを垂直方向に低い密度で並べてコーティングしたもので、光の99.9%以上を吸収するという。研究者らは、この物質はいつか太陽エネルギーの変換効率を高める用途や、赤外線センサーなどのデバイスに使えると述べている。

中央が最も暗い物質

 すべての物質はある程度光を反射する。黒のペンキでも反射率は5〜10%になる。研究者らはすべての光を吸収し、まったく反射させない物質を研究してきたが、反射ゼロの物質の開発は成功していない。これまでに発見された最も暗い物質は全反射率0.16〜0.18%で、ニッケル・リン合金の膜蒸着を使っていた。

 今回レンセラー工科大学のシャウ・イー・リン教授のチームが発見した物質は、全反射率0.045%。カーボンナノチューブを垂直に低密度で並べ、屈折率をきわめて低くし、適度な表面のランダムネスを実現して反射を少なくしたと説明している。カーボンナノチューブを「低い密度で並べたこの物質には、光を集めてとらえるナノスケールの穴がたくさんあり、これが独特の特性をもたらしている」という。

 リン教授らはこの研究結果を「Nano Letters」誌で公開、ギネス世界記録にも申請した。

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