KDDIと沖縄セルラーは6月25日、auの携帯電話と、KDDIの固定電話間の国内通話が無料になる「auまとめトーク」を8月1日に始めると発表した。au携帯ユーザーにKDDIの固定電話サービスに加入してもらい、固定回線の基本料金収入を増やす狙い。同社の小野寺正社長は「固定電話の基本使用料はNTTが独占しているおいしい市場」と、シェア奪取に意欲を示す。
まとめトークは、auの携帯電話と、KDDIの固定電話「ひかりone電話サービス」「メタルプラス電話」「ケーブルプラス電話」「ADSL one電話サービス」「KDDI-IP電話」との間の通話が無料になるFMC(Fixed Mobile Convergence)サービス。KDDIの固定電話間の通話も無料だ。
au携帯とKDDIの固定電話両方を利用し、「KDDIまとめて請求」に申し込むなどといった条件を満たしていれば、特別な申し込みは不要。対象ユーザーにはサービス開始日から自動で適用される。
KDDIの固定電話サービスは新たに「auおうち電話」とauブランドで総称。au携帯とauおうち電話をまとめて利用すれば得になる――とauユーザーにアピールしていく。au携帯を保有する約1370万世帯のうち、KDDIの固定電話未加入の1190万世帯がターゲットだ。
固定電話の付加サービスとして、KDDIのネット接続サービス加入者を増やす狙いもある。「電話をフックに、お客を増やしていきたい」
新サービスは、auショップに訪れた客にアピールしていく。auは夏モデルから、ショップに端末を持ち込み、メニューや外装を変える「ナカチェン」「フルチェン」を投入するなど、auショップへの来店機会を増やす施策を展開している。
まとめトークは無料で利用できる範囲が広いため、通話料収入は減少すると予想しており、2009年3月期決算で20億円の減収を織り込み済み。だが長期的には基本料収入が売上高に貢献すると小野寺社長は話す。
「固定回線が増えることは、基本料金収入が増えることにつながる。基本料金は非常に魅力があり、全体の売上高を増やせる。NTTはこれまで、一部を除いて固定電話の基本料を値下げしてこなかった。ここにいかにうまみがあるかということだ。固定電話のNTT独占を排除するには、われわれがお客を増やさないといけない」
NTTグループも、携帯を家庭の無線LAN経由でブロードバンド接続する「ホームU」で本格的なFMC展開を始めているが、小野寺社長はこれについて「NTTは固定電話収入のほとんどを独占している。この形が続く以上、グループ内のFMCは認められるべきではない」と批判する。
「NTTが『顧客サービスとしてFMCをやりたい』というのであれば、NTT自ら独占の問題をどうにかする必要がある。自らは何もせずに『FMCが必要』とだけ言うのであれば、企業として問題だ」
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