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アキバのアニメ店舗はネットとどう“戦う”か

» 2008年10月20日 08時30分 公開
[岡田有花,ITmedia]
画像 左からアニメアニメジャパンの数土直志社長、虎の穴(とらのあな)コミックバイヤーの塚本浩司さん、アニメイト秋葉原店長の上野真太郎さん、ラオックスアソビットゲームシティ店長の幸田健さん

 アニメ関連商品が、ネットだけでそろう時代になってきた。Amazon.co.jpなどECサイトでアニメ関連グッズが売れ、ネット配信されるアニメも増えている。

 そんな時代の変化に、秋葉原のアニメショップはどう対応してるのだろうか。10月17日に秋葉原で開かれた「ジャパン・アニメコラボ・マーケット」のシンポジウムで、アニメ店舗の店長などが現状を話した。

 参加したのは、ラオックスアソビットゲームシティ店長の幸田健さん、アニメイト秋葉原店長の上野真太郎さん、虎の穴(とらのあな)コミックバイヤーの塚本浩司さん。アニメアニメジャパンの数土直志社長がモデレーターを務めた。

ネットにはない付加価値を

 「ゲームも動画も音楽も、ネットの配信が増えている。それに対応するような店作り、売り場作りが必要だ」――時代の変化の波を最も大きく感じているのは、アソビットゲームシティの幸田さんだ。

 「ネットではできないような付加価値を提供しないと、安易な値引き競争になってしまう」。同店のイベントホールでは週末を中心にアイドルや声優などのイベントを開催。年間8000人が来場しているという。インストアイベントや店頭サイン会なども充実させ、店舗ならではの付加価値を提供している。

 ECサイトはリアル店舗のコストがない分価格を抑えていたり、定価販売の書籍やCDにもポイントを付けることで実質値引きが行うなど、価格競争力が高い。とらのあなの塚本さんは、その点に危機感を抱いているという。

 対抗策はやはり「リアル店舗ならではの展開」だ。「わざわざ店に来るということは“発見”を求めているのではないか。来て楽しい仕掛けが重要。イベントを行ったり、本を紹介するPOPを充実させるなど、リアルであることの面白さを出していければ」(塚本さん)

 アニメイトの上野さんは「Amazonに売り上げが食われているといったことはない」とし、ネットを強く意識したことはないようだ。「アニメイトは定価販売が基本。価格以外の付加価値をどうアピールするかフォーカスしていた」ことがその理由の1つだ。

 グッズ購入者に特典を付けたり、オリジナルで企画・開発したアニメグッズを充実させ、それを買いに来たファンにDVDや書籍など関連グッズもついで買いしてらう――といった手法がこれまで奏功してきたという。

 とはいえ、安心し切っているわけでもないようだ。「アキバから発信されていた新しいものやニッチなものがアキバから離れてネットで展開していった時が脅威。まだそこまでは行っていない。準備期間は多少あるのだろう」(上野さん)

 「ネットではこれを買って、アキバではこれを買うなど、ユーザーが店舗を使い分けてる傾向も感じる。その使い分けを分析するのが、リアルショップが残っていくためには必要だろう」(上野さん)

違法配信減ってもDVDは売れない

 違法にアップロードされた動画のせいでDVDの売り上げが落ちているとされ、アニメ権利者の多くが、動画共有サイトからアニメコンテンツを削除させてきた。「規制はかかったが、売り上げは上がっていない」と幸田さんは打ち明ける。

 「例えばDVDをシリーズで買えば、どこかの店舗限定で収納ボックスが付いてくるなど、売り方がマンネリ化して、ユーザーも分かってしまっているのではないか。買ってもらうにはフェアを組むとか、イベントなどを通じて客を店舗に誘導するといったきっかけ作りが必要だ」(幸田さん)

 アニメイトの上野さんも「DVDは確かに売れなくなってきている」と話す。「だが、売れているDVDもある。売れているDVDがなぜ売れているのかの分析が重要だろう」

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