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iPod課金「利用者がどう理解するかが問題」――JEITA庄山会長

» 2008年10月24日 20時11分 公開
[岡田有花,ITmedia]
画像 庄山会長

 電子情報技術産業協会(JEITA)の庄山悦彦会長(日立製作所会長)は10月24日、iPodなどへの私的録音録画補償金課金問題(いわゆる「iPod課金」)について、「知的財産の重要性は認識しているが、利用者が補償金をどう理解するかについて、継続して話していく必要がある」と述べた。

 補償金問題について議論してきた文化審議会著作権分科会の「私的録音録画小委員会」は20日、結論を事実上先送りにした。権利者側がiPodやHDDレコーダーを補償金の課金対象に加えるよう求めていたのに対し、JEITAは「DRM付きコンテンツやタイムシフト、プレイスシフト利用に補償金は不要」などと強く反対し、折り合いが付かなかったためだ(“iPod課金”見送り ダウンロード違法化へ)。

 この日の定例会見で、JEITAの長谷川英一常務理事は、補償金をめぐる現状について「JEITAの意見は5月と7月に表明したものと変わっていない。小委員会では意見がまとまらなかったが、11月か12月に、文化庁が両論をまとめて報告するとしており、それを待っている段階」と説明。庄山会長は補償金について「一般の利用者が、どこまで、どの程度理解するかについて、継続的に話していく必要がある。機器側だけの問題ではない」と話した。

 デジタル放送の著作権保護に使われているB-CAS方式の見直しに関する議論も、総務相の諮問機関・情報通信審議会傘下の委員会で進んでいる。長谷川常務理事はJEITAの立場について「昨年秋の段階で提出したパブリックコメントで『放送に関する著作権問題は、さまざまな影響の度合いを慎重に見極めて議論すべきと申し上げており、その上で議論に粛々と対応したい」と述べるにとどめた。

 中国がIT製品のソースコード開示を求めている問題について庄山会長は、「中国が要求している内容について、日本政府に事実関係の確認をお願いしている段階」と現状を説明。「業界だけの問題ではなく、日本だけの問題でもない。どこか一国が、あまりに変わったことを通すというのはないんじゃないか」と見通しを述べた。

業界の経営環境、「極めて厳しい」

 IT・エレクトロニクス業界を取り巻く環境は、材料高や金融危機の影響で「極めて厳しい」(庄山会長)。JEITAは昨年12月時点で、今年の国内生産見通しを前年比3%のプラスと見込んでいたが、8月までの実績は前年同期比でマイナス2.1%に落ち込んでいる。

 庄山会長は「先行指標となる電子部品や自動車関連製品も1月以降マイナス成長が続いている。業界は、下期に向けて一段と厳しい対応が必要になる」という認識を示した。

 24日には日経平均株価が8000円を割り、円相場は一時92円台まで上昇した。「足下の変化がここまで激しいのは過去に例がなった。円高についても1ドル100円程度で考えていた企業が多く、輸出産業は大変な影響を受けている。ユーロも動いており、これが続くと大変だ」(庄山会長)

 一方で「そう悲観すべきではない」とも話す。「大変といってもみんなが大変な状況。足下は激しく動くが、物作りを大事にし、他国にはできないものを作っていくことで、必ず回復するだろう」(庄山会長)

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