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» 2008年11月13日 07時00分 UPDATE

「脳波マーケティング」 ニールセンが国内展開

ニールセンが脳神経科学を応用したマーケティング支援事業を始めた。広告やブランドイメージ、商品パッケージやデザインなどについて消費者の脳波を解析。効果の高いCM動画の制作などを支援するという。

[ITmedia]

 ニールセン・カンパニーは11月12日、脳神経科学を応用したマーケティング支援事業を始めた。広告効果やブランドイメージ、商品パッケージやデザインなどについて、消費者の脳波を解析することで効果的なマーケティングを支援するという。脳波は個人ごとの違いが少ないため、一般的な消費者テストの10分の1の人数で分析できるメリットがあるという。

photo CMについて、最も脳が反応したシーンを解析できるという

 米Nielsenが提携した米ベンチャーNeuroFocusが解析を担当する。脳波測定センサーを搭載した帽子を消費者にかぶってもらい、広告の映像などを見た際の脳波の反応を分析。目の動きの追跡と皮膚反応も同時に測定し、面談などを含め約1時間半でテストは終了するという。結果はNeuroFocusに送り、脳神経分野の医師らで構成する専門チームが解析。結果は約3週間後に報告する。

 解析は「アテンション」(注意を引く度合い)、「エモーショナルエンゲージメント」(感情的な反応)、「リテンション」(どの程度記憶に残るか)──の3つの指標で行う。テレビやネットの動画CMを制作する際、複数のCM案を消費者に見せ、効果の高いCMを選んで展開したり、訴求度の高い部分だけを抽出して凝縮した動画を制作するといったことも可能になる。効果的なBGMを選んだり、適切な価格の設定、記憶されやすいパッケージデザインなどにも活用できるという。

「無意識」も解析

photo 被験者にセンサー64個を搭載した帽子をかぶってもらい、脳波を測定する。ワイヤレス化も可能で、店舗内で消費者が行動する際の脳波も測定できるという

 一般的な消費者テストと比べ、脳波マーケティングは脳神経科学上の無意識も解析できる点でメリットがあるという。刺激に対する認知のうち、人間が意識しているのは5%程度。「購買動機などを含む人間の認知・認識はほとんどが無意識のうちに行われ、脳内で必ずしも言語化されているわけではない」が、脳波を調べることで意識化されない消費者の反応も調べることができる、という。

 NeuroFocusのA.K.プラディープ社長兼CEOは、米国の大手保険会社からCMの解析を依頼されたケースを説明する。「渡された6本のCMを解析し、最も購買意欲を高めると考えられるCMを1つ選んだ。クライアントに説明すると『それは別の複数の調査で、最も効果が低いと判定されたCMだ』と言われ、とても驚いた。だが実は、そのCMはコールセンターへの問い合わせにつながった件数が最も多いCMでもあったことが明かされた」という。

 効果の高いCMと脳波の関係は、“リバースエンジニアリング”で導き出したという。売り上げ増に効果があったCMと、効果がなかったCMをそれぞれ消費者に見てもらい、脳波を調べた。その結果、効果のあるものとないものについて、アルゴリズムを発見した、という。

 プラディープ社長によると、刺激は3分の1秒以内に脳に到達し、脳は3分の1秒〜2分の1秒でこれに反応する。この反応は2分の1秒から1秒までに、「認知表現」として、顔の表情などとして現れてくる。一般のテストではこの段階を観察するが、認知表現は個性による違いが大きいため、多数のサンプル数が必要になる。

 脳波の場合、認知表現の前の段階の脳の反応を調べる。脳波の反応は個人差が少なく、人種などを越えてほぼ同じであることが分かっているという。このためサンプル数が少なくても十分な解析が可能といい、性別・年齢のバランスを考慮する必要があるが、一般のテストで200人のサンプルが必要なケースなら、脳波の場合は20人で済むとしている。

 NeuroFocusはテレビ局や映画、自動車、ゲームなどの業界に顧客を持つという。日本の大手メーカーが米国で展開するCMについて、どちらのBGMを選べばいいか解析して提案した実績もあるとしている。ニールセンは広告代理店やメーカー、小売業などにマーケティング支援サービスとして提供していく。

photo ニールセンのシン社長(左)とNeuroFocusのプラディープ社長

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