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「二酸化炭素プラスチック」の実用化に期待 産総研が大幅に改善

» 2008年11月20日 07時00分 公開
[ITmedia]

 独立行政法人・産業技術総合研究所(産総研)は11月19日、二酸化炭素(CO2)を原料とするプラスチックの強度などを大幅に改善することに成功したと発表した。実用化されればCO2削減などにつながるとして、さらに改善を進めていく。

 CO2を原料とするプラスチック「脂肪族ポリカーボネート」のうち、CO2とプロピレンオキシドから作る「ポリプロピレンカーボネート」(PPC)をほかのプラスチックと複合化することで、弾性率と強度を大幅に改善した。

 CO2から製造したPPCは、重さのうち43%がCO2を固定化した分になるという。今回の複合化PPCの場合、CO2割合は30%に低下するが、汎用プラスチックに比べればCO2排出量削減量の見地から有利だとしている。

 CO2からの高分子合成は、井上祥平・東京理科大学教授が1968年に発見した。中国ではPPCのパイロットプラントが作られ、大量生産も始まっているが、「現時点では力学的性能は実用化にはほど遠く、外観もプラスチックというより“べとべとした柔らかいゴム”のような物質」といい、性能改善が必要という。

 今後、複合化PPCの性能改善を進め、透明性を生かしたフィルム材料や包装材料などに展開、実用材料としての評価を進める。企業には積極的に技術移転していく方針。

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