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IBMとハーバード大学、太陽電池向け低コスト素材を探すグリッドプロジェクトを立ち上げ

» 2008年12月10日 07時48分 公開
[ITmedia]

 米IBMとハーバード大学は12月8日、効率的かつ低コストな太陽電池を開発するための有機素材を発見する目的のグリッドプロジェクトを発表した。IBMが非営利の研究目的で立ち上げた、個人や企業のコンピュータの未使用時の処理能力を結集したグリッドコンピューティング「World Community Grid」を利用する。

 IBMらによると、現行のシリコンを使った太陽電池の電池効率はわずか20%で、1ワットの電気を発生するのに約3ドル掛かる。新開発の太陽電池はプラスチックを採用する予定のため、軽量かつ変形が容易で、製造コストも従来電池と比べ大幅に引き下げられるという。

 IBMは、World Community Gridを、同社が新たに開発したクラウド上でも試験的に運用する計画。将来的には規模を拡大し、同社のクラウドサービスを利用する顧客もプロジェクトに参加可能になるという。

 ハーバード大学で化学・生物学を研究するアラン・アルプル‐グジック教授によれば、数千もの化合物の電子特性を1つ調べるのに、通常のコンピュータによる計算では100日かかるという。しかしWorld Community Gridとクラウドコンピューティングを活用することで、通常のシステムであれば推定22年かかるところ、約2年で完了する見通しだ。

 2007年に立ち上げられたWorld Community Gridの参加者は、世界200カ国以上の41万3000人以上に及ぶ。参加するには、World Community Gridのサイトで登録、ソフトをダウンロードする。

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