新興企業のUnison Technologiesが、ユニファイドコミュニケーション(UC)ソフトウェアスイートを中堅中小企業向けに無償提供するという大胆な一歩を踏み出した。
UnisonはUCプラットフォームで企業向け広告を配信して利益を上げたい考えだ。
Unisonの狙いは、昔ながらのMicrosoft ExchangeやIBM Lotus Notes、あるいは人気が高まっているGoogle AppsのようなSaaS(サービスとしてのソフトウェア)などに年間何千ドルも払うことに嫌気がさした顧客を取り込むことだと、Unisonのルーリック・ブラッドベリーCMO(最高マーケティング責任者)は12月12日にeWEEKに語った。Unisonのスイートでは電子メール、アドレス帳、予定表、インスタントメッセージング(IM)、VoIPを1台のサーバとクライアントでまとめて提供する。
テキストと音声通信はすべてLinuxベースのUnison Serverで処理する。Unison DesktopはWindowsまたはLinuxベースのデスクトップクライアントで、従業員は電子メール、IM、ボイスメール、電話を1つのアプリケーションから利用できる。
コスト削減の鍵になるのはこのシングルサーバのアプローチだとUnisonは言う。企業がExchangeやLotus Dominoのような電子メールサーバやグループウェアサーバ、ディレクトリサーバ、IMシステム、そしてそれらとは別にPBXシステムを購入して維持する必要がなくなるからだ。
「最初から念頭に置いているのはSMBにふさわしいUCの提供だ。これまでは何もかもが非常に高額で、実装が難しかった」とブラッドベリー氏は話し、小規模企業の中にはMicrosoftやIBMの大規模なプラットフォームを導入できるIT部門さえないところもあると指摘した。「Unison Serverは1時間半で導入でき、Unison Desktopは簡単に使える」
SaaSモデルでアプリケーションを提供してこの市場で勢いを増しているユニファイドコミュニケーション&コラボレーション(UCC)新興企業はDimDimなど多数ある。しかしこうした各社の製品とは違ってUnisonのソフトは社内にインストールして使う。Unisonは2009年にパートナー経由でSaaSバージョンを提供する予定だ。
宣伝上の観点から見ると、Microsoftが普及させたこのクライアントソフトウェアのアプローチは批判の的となり、Unisonにとって克服すべき課題となっている。大手ベンダーに対抗する1つの手段は無料ソフトを提供することだが、それでは採算が取れない。
ではUnisonはどうやって利益を上げるのか。ブラッドベリー氏によると、同社はUCC全般で広告を配信する。12月12日にUnisonに配信されたのは、Ubuntu OSを手掛けるCanonicalと、Exchange専門のホスティング型ビジネスアプリケーションプロバイダーIntermediaの広告だった。
広告は、Unison DesktopクライアントサーバとUnison Serverコントロールパネルに表示された。Unisonはいずれ広告サーバを導入し、ペイ・パー・クリック広告を販売する計画がある。このため、UnisonのUCサービスをGoogleなどのベンダーが提供しているサービスと比較してみたくなる。Googleなどは、ユーザーの個人情報を収集してWebサービス向けの広告配信強化を図っている。
しかしUnisonは社内導入向けに販売されており、Unisonがユーザー情報を集めることもなければ、Google AdSenseを使うこともないとブラッドベリー氏は言明した。広告は、顧客企業の情報を基にターゲットを絞って配信される。
さらに、Googleが普及させた有料モデルを使えばユーザーは広告を見ずに済む。料金は、8月から提供しているUCプラットフォームのスタンダード版でユーザー当たり年間50ドルとなっている。
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