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JR東、無線列車制御システムを11年に実用化へ

» 2009年04月08日 07時00分 公開
[ITmedia]

 JR東日本は4月7日、無線による列車制御システム「ATACS」を2011年春から仙石線の一部区間で実用化すると発表した。信号機を使って1つの区間に1列車を運転させる「閉そく式」に替わり、IT技術を活用して列車が通信を行うことで制御する全く新しいシステムで、実用化は本格的な都市型鉄道としては世界初という。

photo 閉そく式とATACS(ニュースリリースより)

 現在の閉そく式では、レールに電流を流して列車の位置を検知する「軌道回路」を使用。この位置をもとに、信号機が後続列車に対して走行可能な区間と速度を指示する。信号機で区切られた1区間には1列車しか走行できず(閉そく区間)、線路の周りに軌道回路や信号機、ATS装置、ケーブルなどの膨大な地上設備が必要な点が課題になっている。

 ATACSは(1)列車は線路上に一定間隔で置かれた「地上子」と、速度計で算出した走行距離を基に自らの位置を算出、(2)各列車は位置を無線で送信し、地上装置が把握、(3)地上装置は各列車のルートと停止すべき位置を算出し、各列車に送信、(4)各列車は受信した情報に、車両性能や線路曲線、勾配などの条件を加味してブレーキ制御を行う──という仕組み。ITの活用でシンプルなシステムになっているのが特徴だ。

 鉄道総合研究所の技術を基本に1995年にシステム開発に着手。走行試験などを経て、実用化に踏み切る。

 導入するのは仙石線のあおば通〜東塩釜間。12年春には第2ステップとして踏切制御機能などの周辺機能を導入していく計画。

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