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Windows 7導入のために知っておくべき7つのこと(1/3 ページ)

» 2009年05月01日 07時00分 公開
[Joe Wilcox,eWEEK]
eWEEK

 米Microsoftが2009年にWindows 7を出荷するのはほぼ確実だろう。リリース候補版(RC)は5月30日までにリリースされる見込みだ。不況のあおりでIT支出を切り詰めている多くの企業にとっては、いいタイミングではない。だが、Windows XPを使っている企業――企業の大多数はそうだろう――であれば、移行は避けられない。Windows XPのメインストリームサポートは4月14日で終了した。問題は、Windows 7に備えて知っておくべきことは何かだ。

 KACE NetworksがDimensional Researchに委託した調査によると、12カ月以内にWindows 7にアップグレードする予定の企業は17%のみ。調査に参加した1142人のIT担当者のうち、43%は導入を遅らせる理由として不況を挙げた。面白いことに、回答者の17%がWindows 7β1をテストしている。12カ月以内のアップグレードを計画している人と同じ割合だ。2年以内にWindows 7を導入する予定の企業の割合は59%に上る。

1. ほとんどの企業にはSoftware Assuranceが必要になる

 企業が「Select」あるいは「Open」契約にEnterprise Agreement(EA)かSoftware Assurance(SA)を適用していない場合、新しい配備ツールまたはWindows 7 Enterprise、あるいはその両方を入手するには、(EAやSAのような)年額払いのライセンス契約に付いてくるアップグレード権が必要になる。Vistaにもこれと同じ条件があったのだが、XPやWindows 2000からVistaにアップグレードした企業はほとんどなかったので、影響はほとんどなかった。Forrester Researchが4月14日に発表した報告書によると、欧州と北米の企業のうち、Vistaを導入しているのは10%未満で、71%はXPを使っている。13日に公表されたDimensional Researchの調査結果では、企業の83%がVistaを飛ばして直接Windows 7に移行するという。驚いたことに、企業の53%はその理由として、Vistaを避けるためだと答えている。

 SAが必要だという条件は、顧客ではなくMicrosoftに利益をもたらすものだ。Windowsの売り上げの80%以上は新規のPCから来ている。Microsoftは、WindowsをもっとOfficeやサーバソフトのようにしたいと思っている。Officeでは年額方式のライセンスが売り上げの約40%を占め、サーバソフトでは65%を占めている。これはMicrosoftにとっては確実な収益だ。顧客が2〜3年間の契約を結び、デスクトップソフトなら価格の29%、サーバソフトなら25%を毎年前払いするからだ。

 Windows 7 EnterpriseではなくBusinessエディションを導入すればSAを購入する条件を避けられるだろうが、配備ツールを入手するための保証が必要になる。

2. Windows 7ではアプリケーション互換性が向上しているが、必ずしも問題がないとは限らない

 多くの企業は、Vistaでは既存のアプリケーションが壊れたい、サードパーティーのハードドライバが手に入らない問題があることに気付いている。Windows 7ではそれほどの苦痛はないだろう。Vistaでその苦痛を経験していれば、だが。MicrosoftはWindows 7で互換性向上を約束してきたが、そこには落とし穴がある。Vista対応の認定を受けたアプリケーションはほぼWindows 7と互換性があるはずだが、Vistaで異常を起こしたXPアプリケーションのほとんどはWindows 7でも異常を起こすだろう(訳注:この記事はMicrosoftがWindows 7のXPモードを発表する前に執筆された)。

 Dimensional Researchの調査では、IT担当者のWindows 7に関する最大の懸念事項はソフトの互換性である――88%の回答者が挙げた――ことが示された。ほとんどの企業はXPからアップグレードするため、Vistaで見られた多くのソフトの互換性問題がWindows 7でも起きるだろう。アプリケーションの互換性問題の大半は、Vistaで導入されたセキュリティインフラの変更によるため、Windows 7にも引き継がれるだろう。

 企業はWindows 7のリリースに備える間、Vista向けアプリケーションの評価を続けるべきだ。だがIT部門は、互換性が向上するというMicrosoftの保証をうのみにしてはいけない。とは言え、Microsoftは、アプリケーションの「プロパティ」タブの「互換性」機能を大きく向上させた。eWEEKのテストでは、この機能はVistaではダメだったが、Windows 7では驚くほど役に立つ。

 先述のForrester Researchの報告書で、アナリストのベンジャミン・グレイ氏は「Vistaの導入を始めた企業は、全社的な導入を続け、Windows 7のリリース後に同OSに移行するかどうかを再検討するべきだ」と勧めている。同氏はこのように強調している。「そうした企業はWindows 7リリース後に、XPから移行するよりも早くWindows 7にアップグレードできる。アプリケーションとハードの互換性が保てるからだ」

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