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Netbook普及要因は価格だけなのか――NPDが分析新たな市場セグメントとなるか

» 2009年06月01日 14時16分 公開
[Michelle Maisto,eWEEK]
eWEEK

 景気低迷で消費者が支出を控える中で、Netbookの人気がPCの売り上げ減少に歯止めを掛けているようだ。

 米調査会社NPD Groupの最近の報告書によると、米国でNetbookの販売が特に好調なのは沿岸部の大都市だ。

 例えばニューヨークでは、販売されたノートPC全体の12.3%をNetbookが占めた。カリフォルニア州サンフランシスコとサンノゼを合わせた集計ではNetbookの占める割合は11.4%、マイアミでは11.3%だった。そのほかにもNetbookの販売が好調な都市として、サンディエゴ、ワシントンD.C.、ロサンゼルス、ボストンなどが挙げられている。

 NPD Groupでは、Windows搭載ノートPCの販売は2008年10月から2009年4月の間に15.7%増加したが、Netbookの存在がなければ、その数字は3.6%にとどまっていただろうとしている。

 NPDで業界調査を担当するスティーブン・ベーカー副社長は「Netbookの普及がいち早く始まった地域を見れば、伝統的に流行を先取りしてきた沿岸部のIT市場でNetbookのコンセプトが受け入れられたのは明らかだ」と報告書に記している。

 ベーカー氏は米eWEEKの取材に対し、「これらのバイヤーは価格に引かれただけではない」と述べている。

 「彼らが価格に引かれたという面もあるのは確かだ。しかしそれが唯一の購入動機ではない。少なくともこれらのバイヤーにとっては、複数の要因が購入を促したのだ」(同氏)

 「Netbookの普及が進むのに伴い、新たな市場セグメントを構築し、堅固で持ち運びに不便なメインのPCを補完するデバイスというコンセプトで登場したNetbookが、単に安価なノートPCにすぎないと思われないようにすることが業界全体の課題だ」とベーカー氏は強調する。

 米調査会社iSuppliは4月30日付の報告書の中で、景気が回復すればNetbookの市場が打撃を受ける可能性があると指摘している。同社では、低価格という魅力がNetbookの人気の理由だと考えているからだ。

 「Netbookが売れているのは、それが魅力的なプラットフォームだからではなく、低価格のPCという側面が人々に訴求しているからだ。Netbookはそこそこの機能を魅力的な価格で提供しているのだ」とiSuppliのアナリスト、マシュー・ウィルキンス氏は記している。

 一方、ベーカー氏は「これまで業界は特定のバイヤーにターゲットを絞ることができなかった。Netbook市場をコントロールできなければ、価格だけがユーザーの購入基準になり、ほかの製品分野との食い合いになってしまうだろう」とeWEEKの取材で述べている。

 ベーカー氏によると、Netbookの普及が沿岸部以外の地域に拡大するのに伴い、業界はその価値命題を理解する必要があるという。「メインストリームのPC市場とは切り離されたNetbook独自の市場セグメントを確立することが重要だ」と同氏は語る。

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