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ひろゆき&夏野コンビが語る「日本のITよ、自信を持て」(6/6 ページ)

» 2009年06月12日 19時56分 公開
[岡田有花,ITmedia]
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 でも日本はITに関して言うと、大先進国なんですよね。海外に出張すると、海外の状況がすごく遅れているというのが分かるんです。光回線がこんなに普通に引かれている国はないし、ブロードバンドもこんなにない。アメリカではいまだに1Mbpsをブロードバンドと言ってますから。

 携帯でネットにアクセスするというのも。Googleケータイのどこが何が新しいかさっぱり分からない。全部ほとんど日本の携帯でできることですから。

ひろゆき 世界中でiPhoneすげーと言ってたとき、いまの携帯でだいたいできるよね、と日本だけ冷めてたってのもありましたよね。

夏野 ところが「日本は遅れてる遅れてる、ガラパゴス」と言われるんだよね。

ひろゆき 独自進化をしやすいので、日本は。

夏野 そんなこと言ったらWiiは独自進化じゃない。プリウスなんかめちゃめちゃ独自進化。日本メーカーしか作ってないのに。

ひろゆき 海外にちゃんと受ける形で、文化に合わせた形でフォーマットやコンセプト変えて出すと、結構受けたりするんですよね、日本で流行ってるものって。

日本発、世界へ 4ちゃんねるを例に

夏野 アメリカに「4ちゃんねる」ってのがあるらしいじゃない。

ひろゆき ぼくは「2ちゃんねる」を昔やってたんですけど、「ふたばちゃんねる」という、画像が上げられる2ちゃんねるみたいな掲示板を作った人がいて、それをまねして「4ちゃんねる」というのを作ったアメリカ人がいて。アメリカでは、ネット上の流行は4ちゃんが作ってると言われていて、そこの管理人が、Wall Street JournalやTimeとかで、ネット上で影響力を与える人と評価されていたり。

 ネット上の匿名の掲示板文化は、僕だったり僕の周りの人だったり、「あめぞう」が作ったんですけど、そのコンセプトをアメリカ人が持っていて、アメリカの中でもそれなりに流行ってる。日本で作られた面白いものは、海外でもそれなりに競争力を持ってたりするんです。

夏野 日本語のブログって、世界最大規模らしいよ。英語になると、ブログではなくてFacebookとかSNS系で代替していくんだけど、日本のネットユーザーの方が、よりきちんと主張を出したいとか、そういう意識があるらしいんです。捨てたもんじゃないよね。

ひろゆき 高校生が携帯で「プロフ」みたいなサイトを作ってみたりとか。どういうものが使いやすいかを切磋琢磨しているんですよね。

 プロフって分かりますか? 若い子は、自分たちが語るべきことを持ってないじゃないですか。でも自分のことは知ってほしい。だから前もって、質問があってその質問に答えると自己紹介風の文章ができあがる。できた文章を見て、「この人バスケ好きなんだ」とコミュニケーションを取れる。

 もともと何もない人がどうやって情報を出せるか、出した情報を使ってコミュニケーションをどうすればいいかまで考えてできていたりするんです。そこまで考えて作ってあるコミュニケーションサービスはほかの国にそんなにないと思うんです。そういう独自進化。いずれそれも、海外に行くと思うんですが。

シリコンバレーにゃ負けないぞ

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夏野 ネット系のものっていうと、アメリカでまずできて、それが世界に広がって、その1つが日本というような、タイムマシンとおっしゃっている人もいましたが、日本からのものもたくさんあるし、みなさんがやってること自体が、世界競争力を秘めているのに、日本はダメだと思っていたら、そのうちほかの国がやり始めた、とかいうことがこれからもたくさんあると思うんですよね。

 だからぜひ、みなさんで自信を持って。Interop……って何の略かよく分からないけど、Interopが世界を制していくみたいな。だいたいここに、ほとんど日本人しかいないじゃないですか。シリコンバレーからいっぱい人が来て探りに来るような、そういう場にしてほしいよね。

ひろゆき ネット自体はツールなわけじゃないですか。ネット使ってモノが売れたらいいよね、というのは誰もが思い付くわけじゃないですか。それを大規模にやれば世界中で売れますよね、じゃあ検索必要だよね、というのを、誰でも思い付くものを資本の規模でやるというのが、Amazonとか。

 それはインフラとしてはありだと思うんですが、その上に来るのは結局コンテンツになると思うんですよね。コンテンツのセンス勝負。そうなると、日本ってゲームとかアニメとか、ハリウッド的な映画以外のコンテンツを作る能力は世界的に高いと思うんです。ネット上のコンテンツでもそれが出せていると思うんですが、それを世界に持っていくという方向をあまりやらないせいで、ガラパゴス的なコンテンツを作り続けている。

夏野 やらない理由の1つに、「よく分かんない」ってのもあるよね。

ひろゆき 日本人は自己満足好きですからね。

夏野 自分も好きじゃない。人のこと言えない。

ひろゆき はい(笑)。別に、ねぇ。

夏野 ひろゆきは自己満足しててもいいけど経営者は自己満足じゃダメなので、世界に出て行ってほしいなぁと。

ひろゆき 日本人だけを相手にしていたら食えなくなる会社が増えてくるので、一か八かで海外に行けば食えると思うんですよね。ソニーとかパナソニックって、もともとは日本国内だけじゃ商品を売っててもらちが明かないと海外に出て、輸出型企業として育ったというのもあるので、今後はそういう方向が、日本の会社にも増えるのでは。

夏野 特にITに関しては自動車以上に日本は向いているし、潜在競争力もあると思うので、ここにいらっしゃるみなさんは、ネットの未来をこんなアホ2人に聞くんじゃなくて……

ひろゆき こんなの聞いたって、未来は明るくならないわけですから。

夏野 インターネットの未来を、まず日本から作るというくらいの気概で、ぜひですねぇ。

ひろゆき でも、メインカルチャーじゃないと評価しないっていう文化圏の問題もあると思うんですよね。

夏野 それを言っちゃおしまいだ! 今、締めに入ってるのに!

ひろゆき あら、時間ヤバイ? あの、同人誌の翻訳版って海外で売れてるんです。日本の本屋でも流通してないような同人イベントで売っている本を、英語に翻訳して海外に売っているサイトとか結構あるらしいです。

 そうやって外貨を稼いでいる日本人はそれなりにいるんですよ。でもそこってメインカルチャーではないし、マスメディアも「すごい」と評価しない。ずっと裏の方でやっているという感じになって、たまに取り上げられると陵辱モノのアダルトゲームだったというような話になっちゃって。

 表の人たちが「これはすごい」と言えないようなものでも細々とやってる人たちがいて、そういう人たちを支援することで全体の底上げをする手はあると思うんです。

夏野 それもいいし、大きな仕掛けをやってる人たちも、もっと自信を持ってほしいなぁと思うね。シリコンバレー行くとね、うまいもんもないし、一生懸命働いている雰囲気もしないし、金曜日の午後3時とかになると誰もいませんよ。

 あんなんに負けたらしょうがないがな。みなさん、頑張りましょう。

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