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» 2009年08月18日 13時02分 UPDATE

「1を10にする」ネットサービスの育て方:「ペットじゃない、ゲームじゃない」から愛される So-net「リヴリーアイランド」 (1/2)

So-netの「リヴリーアイランド」は100万近い登録ユーザーがいる。ペット育成ゲームのようなサービスだが、「ペットでもゲームでもない」のが人気の秘密という。

[古川健介(ロケットスタート),ITmedia]
画像 リヴリーアイランドトップページ

 「『1を10にする』ネットサービスの育て方」第2回です。3月の初回からからずいぶんと時間があいてしまいました。ごめんなさい。その間、勤めていた会社を辞めて自分の会社(ロケットスタート)に専念したりとバタバタありました。今ではすっかりニートみたいな生活です。

 さて今回は、ソネットエンタテインメント(So-net)が運営している「リヴリーアイランド」(Livly Island)というサービスの紹介です。

 インターネット業界の人には意外と知られていませんが、2003年にスタートし、登録ユーザー数は93万人。女性に人気のサービスで、ユーザーの8割以上が女性です。母娘で利用する人もいるなど幅広い年齢層に人気で、昨年、都内で開いたイベントには4000人ものファンが集まり、会場まで長い行列ができたほどでした。

 ただ、人気の秘密や運営方法についてはこれまで、あまり取り上げられることがありませんでした。そこで、So-netの運営担当者の方に話を聞いてきました。

リヴリーアイランドとは?

 リヴリーアイランドとは、Webブラウザ上で操作できる育成ゲームのようなサービスです。

画像 ユーザー登録すると「島」と、かわいらしい生き物「リヴリー」がもらえる。リヴリーの種類はいくつもあり、オレンジ色のこのリヴリーは「ピグミー」という種類

 登録と同時にリヴリーというかわいらしい生物と、リヴリーを飼うための島をもらえます。リヴリーは「中世ヨーロッパで錬金術師たちが作り、その後絶滅していたが、現代日本に住む生物学者・ミュラー博士が復活させ、多くの人に配り始めた生物」という設定になっています。

 ユーザーはリヴリーにエサをあげて育て、ほかのユーザーの島にいって交流をする、というのが基本的な使い方になります。世話をするとリヴリーのレベルが上がり、色が変わったり大きくなったり、さまざまな「技」を覚えます。技を使えば、リヴリーがかわいくアクションしたり、「モンスター」と呼ばれる敵に襲われた時に攻撃したりできます。

 リヴリーを連れてほかのユーザーの島を訪れ、リヴリー同士でチャットをすることもできます。「doodoo(ドゥードュー)」と呼ばれる仮想通貨(リヴリーが出す宝石のウンチ)を使って島やエサ、アイテムを買うことも可能。「ヤミー」という名の有料の仮想通貨で、島やリヴリーが身に着けるアイテムを購入することもできます。

 集中してプレイしてレベルを上げたり、点数を稼いだりするというよりは、リヴリーの成長をゆっくり楽しみながら、ユーザー同士でコミュニケーションできるサービスになっています。

「飼う人が最後まで夢を見ていないと、愛が持続しない」

画像 左から土屋夏彦さん、河合浩之さん、菊池大さん

 「リヴリーアイランドを一言でいうとどうなりますか?」――同社エンタテイメント事業部の菊池大さんに聞いてみたところ、「リヴリーアイランドはゲームではなく育成系コミュニティーサイトです」という答えでした。

 「ゲームという言葉や、ゲームっぽい言葉は使わないようにしています。ツールとかアイテム言った瞬間に、デジタルデータになっちゃうんですよね。そうならないために、必ず世界観から入るようにしています」(菊池さん)

 例えば、リヴリーアイランドでは機能追加をする際も「ミュラー博士の研究結果」とか「花のにおいに誘われてやってきました」など世界観を崩さないような表現にしているそうです。

 「飼う人が最後まで夢を見ていないと、リヴリーへの愛が持続しないんですよね。夢が覚めることを運営者がしないように気をつけています」(菊池さん)

刺激の強いものは“日常”にならない

 最近、携帯電話向けでは、「モバゲータウン」や「GREE」などコミュニティー要素を含んだブラウザゲームが盛り上がっていますが、同プロジェクト室プロデューサーの土屋夏彦さんは、そういったゲームとリヴリーアイランドの違いをこう説明します。

 「ストレスから解放される非日常的なゲームを作ることでユーザーを集めているサイトもあると思いますが、リヴリーアイランドは違います。イメージでいうと、夜寝る前に歯を磨くといった、日常的な感覚のものを目指しています」

 「ゲームって締め切りや終わりのあるものがほとんど。そうするとどんどん刺激の強いものが求められるんです。刺激の強いものは、結局“日常”にはなりえない。リヴリーアイランドはあくまで日常的に使われることを大切にしています」(菊池さん)

 ゲームにすると、どんどんと強い刺激が求められる。刺激が強いゲームは短期的には人気を集めますが、どんどん過激になっていき、非日常になってしまう。毎日触るものにはなりえない。

 あくまで日常に接するものを目指しているのです。ユーザーがどういう気持ちで使うのか、というのをきちんと決めて、その軸からはずれないようにしている工夫が見られました。

コミュニティーサイトとしてのリヴリーアイランド

 では、リヴリーアイランド上でのコミュニケーションとはどのようなものでしょうか。

 まず、一般的にコミュニケーションを時間軸で分けると、同期型・非同期型と分けられます。表にすると以下のようになります。

- 同期型 非同期型
ネット チャット 掲示板・メール
リアル おしゃべり・電話 手紙・留守電

 インターネット上での同期型コミュニケーションの代表例はチャットでしょう。同じ時間に同じ場所でやりとりができるというものです。他方、非同期のものとしては、メールや掲示板などがあげられます。

 リヴリーアイランドでいう「コミュニティー」とは、同期型のコミュニケーションを指しています。つまり、ペットを使ってリアルタイムにチャットなどをしてコミュニケーションをします。

 似た分かりやすい例としては、Second Lifeでしょうか。Second Lifeは、3Dアバター×リアルタイムチャットですが、それとやっていることは近いものがあります。

 しかし、リヴリーアイランドはSecond Lifeとは全く違います。リヴリーアイランドは、自分の分身のアバターチャットを使うのではなく、ペットを通じてのコミュニケーションサービスなのです。

ペットだけど自我を持たない

 この“ペットを通じて”、というところが、リヴリーアイランドのチャームポイントとなります。通常のチャットや、アバターとは違う概念で設計されているのです。

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