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一眼カメラのEVFが高精細・きれいに エプソン、SVGA対応HTPSパネル量産

» 2009年10月15日 07時00分 公開
[ITmedia]
photo EVF向けHTPSパネルモジュール。実際の表示を見てみたところ、一般的なEVFに比べてはるかに精細感が高く、色も自然だった

 セイコーエプソンは10月14日、デジタル一眼カメラの電子ビューファインダー(EVF)向け高温ポリシリコン(HTPS)TFT液晶パネルの量産出荷を始めたと発表した。プロジェクター用液晶パネルでトップシェアの実績を生かし、他社製品より高精細で見やすいパネルでEVF用途に参入する。

 量産を始めたのは0.47インチでSVGA(800×600ピクセル)・144万画素のHTPSパネル。高画素化したことで、従来のEVFにありがちだったドット感のない、鮮明な映像で被写体を確認できるという。高開口率化技術により輝度を460カンデラ/平方メートルに高めた。1677万色表示に対応し、sRGB比で92%という広色域化も実現している。

 カラー表示はカラーフィルター方式を採用。3原色を順番に発色する「色順次」(フィールドシーケンシャル)駆動方式では動きの素早い被写体の撮影などで各色が分離して見えてしまう「カラーブレークアップ」が発生する場合があるが、カラーフィルターの採用でこれを防ぎ、流し撮りなどで効果を発揮できるとしている。またアナログ駆動とすることで階調表現を豊かにし、ボケ味なども自然に表現できるという。

 既にデジカメメーカー向けに出荷を始めており、生産規模などは非公表。今後、搭載製品が市場に登場する見込みだ。

 EVFは、レンズを通して撮像素子でとらえた映像をダイレクトに液晶パネルで表示する方式のファインダー。一眼レフカメラの光学ファインダーに必要なミラーやペンタ部を省くことができ、小型化やデザインの自由度が高まるメリットがある。

 同社は今後、コンパクトデジカメと同等の大きさでレンズ交換が可能なデジタル一眼カメラの需要が高まると見て、プロジェクター向けHTPSパネルで培った技術を活用してEVF向けパネルに参入。「ULTIMICRON」(アルティミクロン)というシリーズ名で展開し、今後、HDにも対応可能な高解像度化やAdobe RGBレベルの広色域化などを進めていく。

 プロジェクター向けパネルでは半数の市場シェアを獲得しており、下斗米信行TFT事業部長は「新しい分野なのでどの程度になるのか想像できないが、目標としては4〜5割の高シェアを取っていきたい」と話している。

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