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「実況で2chを超えたい」 放送中のテレビ番組にコメント重ねる「ニコニコ実況」

» 2009年11月28日 18時00分 公開
[小笠原由依,ITmedia]

 ニワンゴは11月28日、「ニコニコ動画」のユーザーインタフェースを活用し、同じテレビ番組を見ている視聴者同士でリアルタイムにコメントを共有できる「ニコニコ実況」の正式サービスを始めた。

 真っ暗な画面上で実況コメントを共有できるほか、テレビチューナー付きPCならテレビ番組画面にコメントを重ねることも可能。コメントを表示できるネットテレビも年内に登場する予定だ。「実況というカテゴリーで2ちゃんねるを超えるのが目標」と、開発したドワンゴの永野想さんは話す。


photo ニコニコ実況
photo 画面部分を透明にしたPC用アプリケーション

 関東キー局とTOKYO MXの8チャンネルに対応した。チャンネルを選ぶと、ニコ動再生画面の映像部分を真っ黒にした画面が現れ、そのチャンネルを視聴中のユーザーが入力したコメントがリアルタイムで流れる。携帯電話にも対応。縦長の端末でも見やすいよう横書きのコメントが上から下に流れる仕様だ。

 画面の部分を透明にしたPC用アプリケーションも提供する。テレビチューナー付きPCでテレビ機能を起動し、番組を映したウィンドウの上に重ねれば、映像の上をコメントが流れる。

 ユーザーが好きなテーマで「チャンネル」を作り、真っ黒な画面上でリアルタイムにコメントをやりとりできる「ユーザーチャンネル」も10枠用意した。外部のライブ配信サイトを見ながら視聴者同士で交流したり、チャットルームとして使える。

 年内発売予定のネットテレビ「ROBRO-TV」(ドウシシャなどが開発)に対応。実況機能をオンにすれば、テレビ画面の上をコメントが流れる。コメントの入力はできない。

ニコ動では削除されるテレビ番組も実況でカバー 他サービスと連携も

photo ニコニコ実況機能を搭載したROBRO-TV

 テレビ番組にコメントを付けられる機能を実現したい――1年ほど前、チューナーメーカーとこんな話を始めたのが企画の始まりだ。連携しながら開発を進める予定だったが、途中でメーカーと連絡が付かなくなり、一度は断念したという。

 テレビとの連携が不要な方法を考えたところ、黒画面にコメントを流したり、画面を透明にして番組再生ウィンドウ上に重ねるという今のニコニコ実況に落ち着いた。黒画面にコメントを流すバージョンのプロトタイプは7〜8月に試験公開。最大で1分間に150程度のコメントが付いたという。

 ニコニコ実況のコメントはログとして残る仕組み。ニコ動では無断で投稿されたテレビ番組の動画が削除され、盛り上がったコメントまで消えてしまう――といったことも多いが、ニコニコ実況なら著作権を侵害せずテレビ番組にコメントを付けられ、コメントも消えない。

 普段テレビをよく見る人を取り込むことで、ニコ動が課題としている「一般化」にも近づけるとしている。すべてのものにコメントをつけられるサービスを目指す、というニコニコ宣言の具現化でもあるという。

 今後は、他社のビデオストリーミング配信サービスなど、いろいろなものと簡単に連携できるサービスにしていきたいという。アプリの形を変えるなど工夫をしながら「いろいろなメディアソースとつなげたい」と永野さんは話している。

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