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HPのPalm買収 本当の狙いは何か(1/2 ページ)

» 2010年04月30日 11時50分 公開
[Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK

 米Apple、そして驚異的な売れ行きを示す同社のiPhoneを出し抜くことができなかったスマートフォンメーカーの米Palmは、米Hewlett-Packard(HP)からの総額12億ドルの買収提案を受け入れるという形で花道を飾ることを決断した。

 直近四半期のPalmの携帯電話の販売台数はわずか40万8000台だった。対照的に、Appleは同期間中に870万台のiPhoneを販売した

 一方、世界第2位のITシステムプロバイダーであるHPは、この買収により、これまで開拓に苦労してきたモバイル端末市場に再び参入する考えだ。しかしHPが多額の“手持ち現金”をPalm買収に投入する狙いは、スマートフォンだけではなさそうだ。

 Palmの元幹部で現在はHPのパーソナルシステム部門の執行副社長を務めるトッド・ブラッドリー氏は4月28日、Webキャストを通じて、HPは1000億ドルという規模の(そして毎年20%の成長を続けている)スマートフォン市場に目を向けているだけでなく、「モバイル端末の新たなフォームファクター」を開発する可能性も見据えていると述べた。

 ブラッドリー氏は明言を避けたものの、話題沸騰中のAppleのiPadへの対抗を狙ったHP-Palmブランドのタブレットコンピュータを示唆しているように思えた。

 「webOS(Palm独自のモバイルOS)により、われわれは統合プラットフォームを積極的に展開できるようになる。これにより、HPはユーザーエクスペリエンス全体を所有し、開発者コミュニティーを育成し、豊かなメディアエクスペリエンスを顧客に提供することが可能になる」とブラッドリー氏は語る。

 4月28日に発表された買収に対して、これがHPとPalm、そしてIT業界全体にどんな影響を与えるかについては専門家の意見が分かれた。

 「これには驚いた」と米Gartnerのアナリスト、ケン・デュレイニー氏は米eWEEKの取材で感想を述べた。「HPがタブレットとノートPCにwebOSを採用するというのは、どうにも理解できない。彼らがこの市場を狙う理由が分からない。この買収に大したメリットがあるとは思えない」

 「webOSにはまだ改良すべき部分が多い。HPはNokiaをはじめとするビッグプレイヤーに対抗しようとしている。これらの企業はMicrosoftのパートナーでもある。Microsoftにとってはあまり面白くないだろう」とデュレイニー氏は話す。

 「この買収にメリットがあるとすれば、Palmの非常に優秀な人材を獲得できるということだ。その結果、従来よりもはるかに強力なスマートフォン事業部門ができる」(同氏)

iPAQというのもあったが……

 米Technology Business Researchの上席アナリスト、ケン・ハイアーズ氏はeWEEKの取材で「HPの目的は、企業市場をターゲットにした本格的なスマートフォン事業を構築することにある。同社は以前からスマートフォン事業を展開してきた。Compaqから引き継いだiPAQだ。だがこれは、辛うじて市場に隅に残っているという状態だ」と語った。

 ハイアーズ氏によると、HPは何年も前からスマートフォン市場のプレイヤーなのだが、そのことはほとんど知られていないという。

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