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何もないテーブルの上に立体映像が浮かび上がる NICT「fVisiOn」

» 2010年07月01日 16時30分 公開
[ITmedia]
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 情報通信研究機構(NICT)は7月1日、テーブル型の裸眼立体視ディスプレイ「fVisiOn」(エフ・ビジョン)の開発に成功したと発表した。何もないテーブルの上に立体映像が浮かび上がって見えるという。

 天板の一部が半透明になったテーブルの下に、特殊な光学素子を配置。光学素子は円すい状で、これを取り囲むように多数の小型プロジェクターを円状に配置する。

 プロジェクターが投射した光は、スクリーンとなる光学素子を経由し、テーブルの半透明部を通ってテーブル面の上に到達。映像で映した物体が、テーブルの上に置かれた場合の光の状態を再現し、テーブルの上に映像が浮かび上がって見える――という仕組みだ。


画像 正面とそこから±60度程度の左右の位置から撮影した例

 96台の小型プロジェクターを使い、周囲120度ほどから観察できるシステムを試作した。試作機では高さ5センチ、直径10センチほどの立体映像がテーブル面から飛び出して見えるという。今後は、360度から観察できるシステムや、立体映像の画質向上、より大きな映像の再生などに向け、研究開発を続ける。

 テーブルを囲んで行う打ち合わせでの活用や、都市設計など地図を使った作業、手術の事前検討など医療での利用などを期待。装置の大型化ができれば、競技場のフィールドを立体的に再現して周囲の客席から観戦するといったことも可能になるとしている。

 ディスプレイの詳細は、7月8日からに東京大学で開かれる「3次元画像コンファレンス2010」と、7月25日から米国ロサンゼルスで開かれる「SIGGRAPH 2010」で学会発表するほか、今秋の「けいはんな研究フェア(京都・けいはんな研究所)で一般公開する予定だ。

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