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番組をテレビ以外の媒体にも 「情熱の系譜」iPadアプリ配信の背景

» 2010年07月02日 11時24分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 地上波のテレビ番組を放送と同時にYouTubeで公開したり、番組と連動したiPadアプリを無料配信したり――こんな珍しい試みが、テレビ東京系列の番組「情熱の系譜」で行われている。


画像画像 情熱の系譜YouTubeチャンネル(左)とiPadアプリ

 情熱の系譜は、医薬品開発の協和発酵キリンが提供する5分間番組。「過去から未来につながる『情熱の系譜』を伝える」というコンセプトで、著名人と、彼らに影響を与えた“過去の偉人”を紹介する内容だ。

 「テレビのリーチ力は大きい。だが、ネットメディアも多くの人が見ている。いろんなメディアを組み合わせてメッセージを伝えていきたい」。協和発酵キリンの長谷川一英広報担当マネージャーは、YouTubeやiPad活用の背景をこう話す。

 同社は2008年10月、協和発酵工業とキリンファーマが合併して設立した新しい会社だ。協和発酵は合併前、「自然は大きなホスピタル」をテーマにしたテレビCMなどで知名度を上げてきたが、合併新会社の認知度は合併前には及ばない。再び認知を拡大し、会社のメッセージを伝える戦略の一環として、情熱の系譜をスポンサードしたという。

画像 長谷川さん

 番組のターゲットは30〜40代男性で、放送時間は、この世代の男性に人気のある「カンブリア宮殿」「ワールドビジネスサテライト」の間・月曜日午後10時54分〜11時に定めた。

 ただ「テレビ放送は週1回、テレビ東京のみ。ほかの媒体でも見てほしい」と、ネットも活用することにした。テレビ東京編成局企画推進部の大和健太郎主任も、「テレビ以外のメディアを使うことで、視聴率拡大につながれば」と期待。PR会社・ビルコムのアイデアで、YouTubeでのテレビと同時公開や、iPadアプリ提供を決めたという。

 Twitterとも連携。「あなたがこれまでに勇気をもらったフレーズは何ですか?」というテーマに対するつぶやきを募集し、人気の高い投稿を番組公式のTwitter用BOTのつぶやきとして活用する――という取り組みも行っており、「@jounetsu_keifu」は1200人近くにフォローされている。

 番組のYouTube公開はテレビの視聴者数を減らす恐れもあり、テレビ局としては複雑な思いもある。だが「YouTubeに配信することで、テレビは見ないがネット動画は見るような、潜在的な視聴者層を掘り起こせるのではないか」(大和さん)とも期待。YouTubeに公開した動画は、1本当たり1000〜4000回程度視聴されている。

 iPadアプリは、出演者の解説や映像、協和発酵キリンのCM映像などが見られる。テレビ番組初のiPadアプリという話題性もあり、すでに1万近くダウンロードされたという。「iPadは画像も映像もきれいでいいできだ。これまでのメディアにはない使い方ができそう」と、長谷川さんは期待している。

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