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「『検索の9割がGoogleに』は誤解」 ヤフー井上社長、検索提携を語る(1/2 ページ)

» 2010年08月02日 20時59分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 「提携について正しくご理解いただいていない記事もある。ややこしい提携だったかもしれないと反省している」――ヤフーの井上雅博社長は8月2日、同社と米Googleの検索提携について、記者向けに説明会を開いた。

 提携後もヤフーの検索サービスや広告は「ほとんど変わらない」と強調。Yahoo!JAPANの検索結果のうち、検索エンジンが吐き出すコンテンツは年々減ってきており、検索サービスでの独自性や競争は保てると説明した。

「Googleから提供を受けるのは、検索結果の半分〜3分の1程度」

画像 「なぜこんなに変わらないのにみなさんにご興味持っていただけるのか疑問」と井上社長

 Yahoo!JAPANはWeb、画像、動画検索とモバイル検索で、Googleの検索エンジンと、広告配信技術を採用する。導入するのはバックグラウンドの技術のみで、サービスは従来通りヤフーブランドで展開。「これまでとまったく変化はない」と井上社長は強調する。

 Googleのエンジン導入後も、Yahoo!JAPANの検索結果画面は、Googleとはかなり違うものになるという。「検索エンジンの外」から拾っている情報が、検索結果画面に増えているためだ。

 Yahoo!JAPANの検索結果には、検索語に関連する「Yahoo!地図」の周辺地図や、「Yahoo!グルメ」のレビュー、「Yahoo!ニュース」の関連情報、「Yahoo!知恵袋」のQ&Aなどを表示している。

 「検索エンジンからの情報が表示されている面積は意外と小さく、今後、どんどん小さくなってくる。はっきりとした割合は言えないが、Googleから提供を受ける部分は、検索結果の半分〜3分の1程度になるのでは」


画像画像 Yahoo!JAPANと米Yahoo!で「六本木 ラーメン」を検索した例。同じYahoo! Serch Engine(YST)を利用しているが、Yahoo!JAPANでは地図が表示されるなど“独自の味付け”がなされており、結果に違いがあることが分かる

 国内シェアナンバーワンのヤフーと2位のGoogleが検索エンジンを統合すると、検索でリーチできる情報の多様性が失われるのでは、という懸念も否定。「Googleからもらっている部分は検索結果の一部。それほどみなさんの不便になることはない」と強調する。

 特定のWebサイトがGoogleの検索結果にヒットしなくなる“Google八分”がYahoo!JAPAN上にも反映されることになるが、「Google八分の理由が、ヤフーから見ても仕方ないと思えるならノータッチだが、理由がおかしいと思い、検索結果に反映させた方がユーザーにとってありがたい場合は、検索結果に付け加える形で補てんできると思う」(同社の梶川朗 最高財務責任者)。

 Yahoo!JAPAN各サービスの更新情報などをリアルタイムにGoogleに提供することも決まっているが、ユーザーの個人情報などは提供しないという。「GoogleがTwitterなどとやっているリアルタイム検索に、Yahoo!JAPANも加え、検索結果に最新の情報が出るようにする。利用者の情報などは提供しない」(井上社長)

検索連動広告は「統合されない」

 検索連動広告のシステムもGoogleのものを採用するが、ヤフーの検索連動広告「スポンサードサーチ」と、Googleの「AdWords」は「統合されない」(井上社長)。

 両者は別々に営業、運営され、広告主は、配信したいサイトによってスポンサードサーチかAdWordsかを選ぶことになる。広告の掲載可否の審査基準もヤフー独自の基準を維持し、「Googleとは無関係にやっていく」。

 広告の価格統制にもつながらないと強調する。「検索連動広告の値段は、広告主同士が入札で競り合って決めており、ヤフーやGoogleは決めていない。提携後、顧客の情報などを両社間でやりとりすることもない」

 ディスプレイ広告や行動ターゲティング広告など検索連動以外の広告は、従来通り、米Yahoo!のシステムを維持する。

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