宇宙航空研究開発機構(JAXA)は10月6日、小惑星探査機「はやぶさ」が持ち帰ったカプセルの中身を電子顕微鏡で調べたところ、由来不明の微粒子が新たに約100個見つかったと発表した。「地球外物質が見つかるチャンスは、若干広がったかなと思う」――同日の記者会見で、JAXAの研究者は言葉を選びながらこう話す。
はやぶさが持ち帰ったカプセルのサンプルキャッチャー(サンプル容器)には、小惑星「イトカワ」の砂ぼこりが入っている可能性があり、JAXA相模原キャンパス(神奈川県相模原市)で資料採取・分析を進めてきた。
肉眼や光学顕微鏡で確認できた大きな粒子は、金属片など明らかに地球由来と思われるものも多かったという。今回、特殊なへら(テフロン製、幅3ミリ×長さ6ミリ)を使ってサンプルキャッチャーの側面をこすり取り、電子顕微鏡で調べた結果、1μメートル以下のものを含む微細な粒子が100ほど見つかったという。
微粒子が地球由来かイトカワ由来かは不明。「元素構成を見ると、金属片でない、といったことまでは分かるが、宇宙でも地球でもありふれたもので構成されていおり、地球のものでないと言い切るのは難しい」と、JAXA宇宙科学研究所ミッション機器系グループの上野宗孝さんは話す。
会見では記者から、「地球外の物質である可能性はどの程度か」という質問が繰り返し出たが、上野さんは「可能性をどうこう言う根拠が得られていない」と慎重に答えた。「ただ、小さな粒子は非常にたくさんあることが分かった。チャンスは若干広がったかなと思う」と話した。
はやぶさのサンプルキャッチャーは「A室」「B室」の2つあり、現在はA室の採取作業が進められている。側面の微粒子をへらでこすり取る作業も、あと数回行う予定だ。B室の採取は「うまく行けば10月末ぐらいから」スタート。B室の方がイトカワ由来の物質が入っている可能性が高いとみられている。
B室の採取にめどがついた段階で、地球外由来の可能性のある物質について、初期分析に入る予定。採取した微粒子の15%を分析する計画になっている。
大型放射光施設「SPring-8」(兵庫県佐用町)を使った同位体分析などが予定されており、分析スタートから数カ月で分析結果が出る見通し。今後、JAXA相模原キャンパスから分析拠点まで、微粒子を汚染なく移動させる方法などを検討していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR