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» 2011年04月22日 19時53分 UPDATE

現場ルポ・被災地支援とインターネット:Yahoo!チームが訪ねてきた データベース情報の利用が始まる

ネットを活用した被災地支援に取り組む藤代裕之さんが、「現場」の状況や課題を報告する連載の8回目。目的はメディアを作ることではなく、ボランティア情報を多くの人に届けることだ。DBの入力が始まってから3日、Yahoo!のスタッフが訪ねてきた。

[藤代裕之,ITmedia]

大震災の情報源としてインターネットが活用されているが、被災地からネットで発信される情報はあまりに少ない。震災被害はこれまでの経験と想像すら超えており、ネットにおける被災地支援、情報発信も従来のノウハウが通用しにくい状況だ。

ブログ「ガ島通信」などで知られる藤代裕之さんは現在、内閣官房震災ボランティア連携室と連携している民間プロジェクト「助けあいジャパン」に関わっている。ネットを使った被災地支援の「現場」では何が起き、何に直面しているのか。ネットという手段を持つるわたしたちには何が求められているのだろうか。震災とネット、情報を考える、マスメディアには掲載されにくい「現場」からの現在進行形のルポとして、藤代さんに随時報告していただきます。(編集部)


▼その1:「情報の真空状態」が続いている

▼その2:できる範囲でやる──ボランティア情報サイトの立ち上げ

▼その3:「ありがとうと言われたいだけのボランティアは 必要としていない」

▼その4:ターニングポイントになった夜

▼その5:チームを作る 誰がDBを作るか、プロデューサーは誰か

▼その6:有用性と実装スピードの両立 「とにかくこれでやらせてくれ」

▼その7:データベースは5カラムで設計 学生チームが入力を始める

 「ボランティア情報のデータを活用したい」。3月28日夜、港区の活動拠点にYahoo!JAPANの震災関連サービス担当チームが訪ねてきた。表示面のあてがないままデータ入力を続けて3日、「ボランティア情報は必要なコンテンツだから必ず利用者が現れる」と読んでいたが、予想以上の早さだった。利用者の多いYahoo!が使ってくれるなら、多くのネットユーザーにボランティア情報を届けることができる。

第1号ユーザー、Yahoo!の開発スピード

photo 協力企業から拠点に贈られた机やいす、PCを設定する学生編集チーム

 学生編集チームは、データベースとまとめサイト(wiki)の両方に同じ情報を入力していた。表示面は作らず、データベースに特化していたため、データ利用者が現れなければ作業は徒労に終わる。入力を開始した時点では利用企業・個人のめどは立っていなかったが、ボランティア情報を必要とするWebサイトやサービス開発者はいるはずと、周知活動を始めたところだった。

 Yahoo!チームとWeb開発チーム、データベース開発者の澤村正樹氏の打ち合わせは午後9時を過ぎて始まった。既に、活動拠点には協力してくれる企業によってPC、プリンターや机と椅子が運び込まれ、データの収集・入力作業や打ち合わせが出来るようになり事務所らしくなっていた。

 データベースには、団体名、担当者名、住所、連絡先、内容の5つのカラムしかない。XMLでは、organization、name、address、contact、bodyとなり、bodyにあらゆる情報が詰め込まれている。入力者側で手間をかけて、参加条件や連絡先、緯度経度、情報元のURLなどは分けて登録するようにはしているが、整理して表示するためには、このbody内を処理する技術的な工夫が必要だ。

photo Yahoo!チームとの打ち合わせ

 Yahoo!チームからは、もう少しデータ形式を整えられないか、という要望があったが、一晩で作ったデータベースであること、現場からの入力も検討していることを伝え、変更ができないと説明した。Yahoo!の担当者は「予想していたことですので頑張ります」と引き取ってくれた。

 Yahoo!の開発スピードはすごかった。データを使った「現地発 ボランティア(NPO・NGO等)情報ホットライン」、は30日夕方にリリースされた。開発期間は2日を切っていた。その後、都道府県別の表示も実装された。

 Yahoo!に活用してもらうため、学生編集チームもデータベースに登録されている情報の充実に努めた。新たな情報を登録する一方で、28日から31日までの間に150件のデータをまとめサイトから手作業でデータベースに移行していった。

できる範囲でやれることもある

 データベースの第1号利用サイトのめどが立ったことで、広報・PRチームを中心にYahoo!以外にもデータベースを活用してもらう企業や個人を増やす周知活動に力を入れることになった。

 iSPP(情報支援プロボノ・プラットフォーム)のような集まりに出席したり、Webサービス各社、霞ヶ関を回ったりして、データベースの利用を呼びかけたところ、Yahoo!に続いて、ニフティからも反応があった。現在、ポータルサイトでは、Yahoo!、goo、ニフティがデータを活用し、MSNが公開に向けて準備をしている。

 ポータルサイトだけでなく、個人のネット利用者にも協力してもらいたいと、多くのブロガーに接点を持つアジャイルメディア・ネットワーク(AMN)の徳力基彦社長にも依頼した。

 渋谷駅近くのオフィスを訪ねると「震災を前にソーシャルメディアは無力だと感じた」と力のない声が返ってきた。確かに通信環境や電気といったインフラだけでなく、街が壊滅的な状況になっている中で、ソーシャルメディアで何かをやろうというのは、途方もなく被災地支援に遠いことかもしれなかった。しかし、できる範囲でやれることもある、と訴えた。AMNの協力によってサービス開発の呼びかけと募集は4月12日からスタートすることになった。

メディアを作ることが、続けることが目的ではない

 表示面にめどがたったことを受けて、まとめサイトの更新停止に取り掛かった。

 Yahoo!の開発が決まった翌日に、まとめサイトへの情報入力をストップし、データベースのみに情報を入力しようと伝えると、Web開発チームから反対があった。まとめサイトは1万ページビューあり、週末を控えてネットユーザーに対して情報を提供するために情報を更新しておく必要があるという意見だった。だが、まとめサイトのページビューとYahoo!は比べ物にならない。結局、Yahoo!で表示が始まった翌日に更新を停止し、まとめサイトのトップページにYahoo!へのリンクと説明を掲載することにした。

 表示面、メディアを作るのが目的ではなく、最初からデータベースを作り、できるだけ多くのネットユーザーにボランティア情報を届けることが目的だ。また、プロジェクトはボランティアに限らず終わることも大切になる。続けることが目的ではない。Yahoo!の掲載開始は初めてプロジェクトの一部を終わらせるチャンスだった。

 まとめサイトの更新をストップし、Web開発チームがアドバイスしていたデータ入力も、学生編集チームに任せることにした。情報の収集や入力は、Facebookのグループを使ってWeb開発チームと学生編集チームが協力して行っていたが、学生のグループから連絡の担当を除いてWeb開発チームの退会手続きを行った。

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