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» 2011年06月09日 20時32分 UPDATE

ついにMacにやってきたNETDUETTOを試してみた

ブロードバンド回線があれば、離れたところにいる友人とセッションできる――ヤマハが昨年公開したNETDUETTOがようやくMacに対応。早速試してみたの記。

[松尾公也,ITmedia]

 ブロードバンド回線があれば、離れたところにいる友人とセッションできる――ヤマハが昨年公開したNETDUETTOが、ようやくMacに対応した。これまではWindows環境が必須だったが、Macに対応したβ版が本日公開された。

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 NETDUETTOは、楽器やマイクから入力した音声を、ネットに接続したパソコン同士でやりとりするソフトウェア。無償で公開されているNETDUETTOβがインストールされていれば、最大4人までが同時接続していっしょに演奏を楽しめる。

 Windows版の一般公開は今年の1月6日から。NETDUETTOアプリケーションを使ったセッションだけでなく、その様子をニコニコ生放送を使って放映できる「ニコニコ生セッション♪」も提供されている。

 筆者が最初にNETDUETTOを試したのは2010年3月だったが、このときはWindows版を使用。そこからMac版の登場まで14カ月を待ち続けた。

 その待望のMac版NETDUETTOβを試用することができたので、そのインプレッションをまとめておこう。

NETDUETTOβのMac版を起動する

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 インストールはWindowsよりも簡単だ。NETDUETTOβのアプリケーションをインストーラに従い組み込む。オーディオドライバは、Macには優秀なCoreAudioというのが備わっているので、Windows版のようにASIOドライバをわざわざインストールする必要もない。ASIOドライバの設定では多くのDTMユーザーが悩まされているのでそれをスキップできるメリットは大きい。今回はオーディオインタフェースを使ったが、内蔵マイク、内蔵ラインインだけですませることも可能だ。

 起動したら、ドライバ設定でサウンドの入力と出力を決める。オーディオインタフェースがある場合にはそれを使用。そうでなければ内蔵入力か内蔵マイクを入力に、内蔵出力を出力に使う。マイクと併用する場合にはヘッドフォンを使ったほうがいいだろう。


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 マイク入力のテストやWAVファイル再生などで音が鳴ることを確認したら、メンバーにルームを教える。ここがセッションするスタジオになるからだ。LOGINの項目にある、ルーム名、パスワードを相手にも伝える。パスワードはなくてもいい。そして、まず自分がその設定で「ルームをつくる」をクリックし、入室しておく。1つのセッションは最長6時間となっていて、入室するとカウントダウンが開始される。

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 入室すると、サーバに接続したという表示がされ、自分のオーディオレベルメーターとパン設定のノブが表示される。他のメンバーが加われば、そのアイコンとメーターがその下に表示される。一番右には、自分とそのメンバーとのレイテンシーの簡易表示もされる。

 「詳細情報」をクリックすると、ミキサー画面と詳細なレイテンシー、圧縮、サンプリング周波数が表示される。また、相手のオーディオインタフェースにマイクがミキシングされていない場合用に、テキストチャットも用意されている。

 詳細なFAQをヤマハが用意しているので参考にするといいだろう。

セッションしてみる

 試用した2日の間に3つの「セッション」をこなすことができた。本当にスタジオに入るとこういったことはまず不可能だが、ネットセッションなので気軽にできるのだ。

 まずはギター担当の友人、大塚純さんと。ギターをMacBookにつないでプレイした。こちらはフレッツ光、大塚さんはADSLという環境だが、レイテンシー(遅延)は送信が35ms、受信が38msほど。音質は11kHzの圧縮になっていた。ADSLだとサンプリングレートが落とされ、圧縮もされる。音質はちょっと悪いが、ブルースのセッションはなんとかなるレベルだった。

 ちなみにこちらはヤマハのUSBオーディオインタフェース(YAMAHA AUDIOGRAM6)にSHUREのヘッドセットマイクと、楽器はiPhone+Fingeristという組み合わせ。

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 次は、オルタナティブブロガーの佐々木康彦さんとIT系会社員の礒弘達さん。どちらもギタリストで光回線。ただ、こちらのレイテンシーは、ADSLの大塚さんより悪くて、送受信が34ms〜60ms。22kHzの非圧縮だが、遅延はちょっと多め。

 ただ、このくらいのレイテンシーでも演奏を合わせるのはできる。佐々木さんは「16ビートの刻み(カッティング)がつらい」話していたが、それ以外はさほど違和感のない演奏が楽しめた。

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 最後は、iPhone/iPad楽器中心のバンド「マネトロンズ」をいっしょにやっている山崎潤一郎さん。こちらは最もよいレイテンシーで、送受信ともにアベレージで18msの22kHz非圧縮。光回線とはいえ、ここまで出るのはなかなかないかも。

 参加者から上がった感想としては、「自分の楽器と相手の楽器とのバランスをとりにくいので、インカムの機能があるとうれしい」というのがあった。ボーカルマイクをつなげている場合はいいが、たとえばパソコンの内蔵マイクと楽器をつなげたオーディオインタフェースと共存させるといったことがアプリケーションの中で手軽にできると便利だろう。現状でもSoundFlowerという仮想オーディオドライバを経由することで近いことはできるのだが。

 バランスをとることに時間をとられがちなので、バランス調整用の機能は別途あったほうがいいのではないかとの意見もある。「そっちの音量、もう少し上げてもらえます?」「これ以上は上げられないんで、そっちを下げてください」とかいった会話をしつつ調整するわけだが、その場合にはテキストチャットではつらいので、バランス調整を半自動化するとか、なんらかの解決策がほしいところだ。

 また、MacにはせっかくGarageBandというデファクトスタンダードのDAWが存在するので、そのプラグインとしてNETDUETTOが動作すれば、というアイデアも出てきた。「最近の人たちはDAWの中だけで完結しているので、そのためのつなぎやすさを考えたほうがいい。そのためにはMac版ならGarageBandにネイティブでつながらないと」と大塚さん。これは同意だ。

 佐々木さん、磯さんとのセッションでは、佐々木さんがあらかじめ用意したセッション用のオケをアプリケーション内のWAVプレーヤーで再生した。ドラムはネット上でもなかなか揃わないので、こういったオケ機能はうれしい。ただ、WAVだけではなく、MP3やAACがそのまま使えると便利さは大きく向上するはずだ。カラオケのファイルを流しながらあちらとこちらでデュエットするといった手軽な使い方もできるだろう。

 気軽にセッションできるような、レベル別、ジャンル別の部屋があらかじめ用意されているといいのでは、という提案もあった。ブルースやジャズで曲の途中から参加するとか、どういう演奏がされているか、外から聴くことができたりとかも楽しいかもしれない。このあたりはニコニコ生セッションでカバーすべき領域なのかもしれないが、まだ利用できるレベルに制限が高いせいか、利用者が少ないのも気になる。

 パソコンさえあれば自分の部屋が「どこでもスタジオ」になり、時間の都合さえつけば、いつでもセッションができることになったことの意義は想像以上に大きい。NETDUETTOがスタジオを開放したことは、DTMが音楽制作を開放し、VOCALOIDが歌声を開放したこと並みに、音楽史的には重要なことかもしれない。

 「ここまでのことができればうれしい」「みんな、がんがん音楽をやるようになるんじゃないか」――そんな感想も聞かれたNETDUETTOは「みんなと一緒に演奏して楽しむ」という、音楽の原点に引き戻してくれるツールと言えるだろう。

 わたしもこれを機に、昔のバンドメンバーに連絡をとってみようと思う。

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